SWALLOWが8月29日に東京・Spotify O-nestで結成10周年記念ワンマンライブ「遠雷」を開催した。
2016年9月、当時中学生だった安部遥音(G)を中心に、工藤帆乃佳(Vo, G)、種市悠人(Key)が集まり、文化祭への出場を目指して“No title”という名前でバンドを結成。2020年の改名を経て、今年で結成10周年という節目を迎えた。今回のライブは工藤が初めて演出を担当。サポートミュージシャンを迎えたフルバンド編成でパフォーマンスを行った。
開場時から会場には、ピアノの旋律と虫の音を組み合わせたBGMが流れ、開演への期待を静かに高めていく。暗転すると、タイトル「遠雷」を思わせる落雷音が響き、ピアノによる「嵐の女王」のフレーズが静かに鳴り始めた。ステージに姿を見せたのは工藤と種市。ピアノとボーカルだけで「嵐の女王」をワンコーラス歌い終えると、工藤が「遠雷」とささやき、客席から大きな拍手が沸き起こった。続いて小雨のSEとともに安部、そしてサポートミュージシャンが登場。バラードナンバー「涙雨」へと移る。工藤が水玉模様の傘を差しながら歌う演出も相まって、雨の中にいるような情景がステージに広がる。透明感のある歌声が会場を包み込み、続く「rain stops, good-bye」では、さらにしっとりとした世界観が描き出された。
今年4月にリリースされた「私のために泣いて」では、光が差し込むような演出とともに、徐々に会場の温度が上昇。SWALLOWは序盤から1曲ごとに異なる景色を見せていく。続いて波打ち際のさざ波のSEが流れ、ステージが青い薄明かりに包まれる。ギターの音色とともに後方からスポットライトに照らし出された工藤は、寺尾聰のカバー「出航 SASURAI」を一節歌った。そしてボサノバ調の「午睡」へ。さらにシャンソンの名曲「枯葉」の英語版「Autumn Leaves」をしなやかに歌い、「常葉」へとつなげた。
「ハイウェイラジオ」「1620kHz」と進むにつれて、ステージの熱量は着実に上がっていき、客席からも力強いレスポンスが返ってくる。ライブの定番曲「ULTRA MARINE」では観客が一斉に拳を突き上げ、大合唱が響き渡った。しっとりとしたピアノ演奏を背景に工藤が手紙を読み上げ、「離郷」へとつなぐ。印象的なギターカッティング、流麗なピアノ、そして突き抜けるボーカルが、楽曲の切なさを際立たせた。代表曲の1つ「田舎者」は、アカペラから始まる特別な構成に。静寂の中で響き渡る歌声に、客席も聴き入っていた。
次のセクションでは、飛行機内を思わせるSEからピアノバラード「パスポート」へ。「青く短い春」ではアコースティックギターのストロークがノスタルジックな空気を醸し出す。そして工藤が「SWALLOWの結成10周年を記念した今日この日のライブ、新曲を一曲……」と告げると、客席から大きな歓声が上がった。ここで届けられたのが、未発表の新曲「PEACH BLACK」。これまでのSWALLOWとはまた異なる表情を感じさせるサウンドが、会場を温かく包み込んでいく。続く「ANTARES」では、ラテンの香りを感じさせるアコースティックなサウンドと情熱的な演奏によって、再び会場の熱気が高まった。冒頭と同じ落雷音とピアノフレーズが響く中、工藤が「最後の曲です」と告げ、「嵐の女王」へ。この日もっとも激しく力強い演奏に、観客も拳を高く掲げて応え、本編は幕を閉じた。
鳴り止まないアンコールに応え、再びステージへ戻った3人。ここでは「初めてライブに来た方に、しゃべるとこんな感じかとドン引きされないといいけど(笑)」と工藤が冗談を交えながら、普段の3人らしさを感じさせるMCを展開した。さらに誕生日が近い観客を見つけると、突然「ハッピーバースデー」を演奏するサプライズも。温かな拍手が広がる中、工藤は「東京でのワンマンライブも2回目になりまして、最初のワンマンはもっとガチガチに緊張していたんですけれど、お集まりいただいた皆さんのお顔を見るとホーム感を取り戻して元気にできましたね」と感謝と安堵の思いを語った。続いて安部が「僕らNo titleっていうバンド名だったんですけど、No titleの曲をやらないで(笑)。SWALLOWになって初めて出した曲をやりたいと思います」と曲紹介。改名後初のシングル「SWALLOW」を演奏した。
演奏を終えると、工藤が「これを言いたくてたまらなかった」と切り出し、ライブ中にサプライズで披露した「PEACH BLACK」を9月23日にリリースすることを発表。さらに「大事な発表なんですけれども」と前置きしたうえで、「次のワンマンライブが初めての海外公演です! 場所は台北です」と告げると、この日一番とも言える大きな歓声と拍手が会場を包んだ。その一方で、種市は装飾用の電光を首から下げ、「こういう犬いない?」と、自身のニックネーム「ポチ」にも通じるお茶目な一面を見せ、会場を笑わせた。
「紛い者の万年筆」では工藤がマイクを遠ざけて叫ぶようにサビの「側に居てくれてありがとう」というフレーズを歌い上げた。最後に工藤が「また、来年渋谷で会いましょう」と意味深な言葉を残すと、アップリフティングな「約束のない一日」へ。最後の力を振り絞るように歌い上げる彼女を見て、観客も拳を高く突き上げて大きな歓声で応える。「10年間ありがとう、これからもよろしくお願いします」という感謝の言葉とともに、SWALLOWの結成10周年記念ライブ「遠雷」は締めくくられた。


