EBiDAN所属のアーティストが一堂に会するライブイベント「EBiDAN THE LIVE 2022 ~EBiDAN AWARDS~」が、8月20、21日に東京・東京ガーデンシアターで開催された。
「EBiDAN THE LIVE」(通称「エビライ」)は毎夏恒例の一大行事として2013年よりファンに親しまれてきたイベント。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年と2021年の実施が見送られたため3年ぶりの開催となった今回の「エビライ」には、過去最多の9グループがメインアクトとして参加した。また、EBiDAN創設初期から超特急とともにEBiDANを引っ張ってきたDISH//が今回をもってEBiDANを卒業することに。この記事では、DISH//のEBiDANとしての“ラストステージ”となった2日目公演の模様をレポートする。
2日目のオープニングアクトを務めたのはZeBRA☆STAR、EDAMAME BEANS、STA*Mの3組。ZeBRA☆STARが「Shining Fire」でグルーヴィに体を揺らすと、EDAMAME BEANSはさわやかに「FREEDOM」を歌い踊る。3番手を担ったSTA*Mは「Hooper」「Let Me」をつなげたメドレーで大人びた一面をのぞかせ「このあと『EBiDAN THE LIVE』始まります! 楽しんでいってください!」と先輩グループへバトンをつないだ。
「EBiDAN AWARDS」というサブタイトル通り、“授賞式”が全体のテーマとなっている本公演。2日目もメインアクトの9組が一堂に会すオープニングコーナーからスタートした。オールブラックのフォーマルウェアをまとった原因は自分にある。、白とベージュのバイカラーでまとめたさくらしめじ、タイトなスーツ姿のONE N' ONLYと、それぞれの個性が光る着こなしでドレスアップした面々は、壮大なオーケストラアレンジが施された各グループの楽曲に乗せて入場行進を行った。全グループがステージ上にそろったところで届けられた全体曲「New day! New wave!」では、ステージの端から端までをびっしりと埋め尽くした出演者の1人ひとりが大きなダンスを踊って圧倒的なスケール感を演出し、タカシ(超特急)や北村匠海(DISH//)を筆頭に、TETTA(ONE N' ONLY)、吉田仁人(M!LK)、古川毅(SUPER★DRAGON)など各グループのボーカル自慢が歌声をつないでゆく。矢部昌暉(DISH//)が自分のギターを田中雅功(さくらしめじ)に任せて客席を煽ったアウトロを経て、進行役のリョウガ(超特急)から言葉を求められた匠海は「DISH//は今日が(EBiDANとしての)ラストライブとなります」とひと言。そして「僕はEBiDAN歴12年、人生のぴったり半分をEBiDANで過ごしてきました。今日は思い思い、好きに楽しんでもらえたらと思います」と思いを語った。
「さびしいなと思う人もいるかもしれないけど、ペンライトや拳を振り回していただいて、今日しかない1日を最高の思い出にできたら」とリョウガが観客に呼びかけたのち、ライブアクトのトップバッターを担ったのはEBiDANの研究生チーム・EBiDAN NEXT。彼らはエネルギッシュなダンスナンバー「With you With me」を挨拶代わりに届け、笑顔で客席にアピール。2曲目にはTEAM Bによる激情的なロックナンバー「Run on this my way」が披露され、メンバーは曲中に差し込まれたダンスブレイクで高いポテンシャルを提示してみせた。改めてチームの全員がそろったところでドロップされたラストナンバーは、EBiDANの先輩メンバーが出演する総合プロジェクト「FAKE MOTION」のメインテーマである「FAKE MOTION」。冨田侑暉と山本龍人は背中合わせで佐野勇斗(M!LK)演じる高杉律のセリフ「負ける気がしねえな」を言い放ち、会場のEBiDANファンを大いに沸かせていた。
「ENCHANT」のキャッチーなイントロに乗せてBUDDiiSのアクトが始まると、リーダーのFUMINORIは「ペンライト持ってたら黄色にして!」とファンにリクエスト。この言葉にEBiDANファンがBUDDiiSのチームカラーであるイエローの光を灯すと、10人は笑顔で客席を見つめながらこの曲をパフォーマンスした。「最高の景色!」と喜びをあらわにしたメンバーは自己紹介のMCでも口々に感謝を伝え、KEVINやMORRIEが美しいファルセットでユニゾンを響かせる「HOT CHEESE」でもサビで掲げるピースマークで会場をひとつに。今年が「エビライ」初登場ながら、朗らかに観客を巻き込みながらステージを楽しんだ彼らが最後に届けたのは最新曲「SM:)LE」で、FUMINORIは「エビライ最高! みんなのかわいいスマイル見せてください!」と声を上げる。メンバー同士ふざけ合い、笑い合いながら、大切な人との絆を温かく歌い上げるこの曲のメッセージをしっかりと届けた10人は「このあとも楽しんでいってください!」と大きく手を振りながらステージをあとにした。
2019年、デビューから約1カ月で「エビライ」デビューを果たし、前衛的なデビュー曲「原因は自分にある。」のパフォーマンスで多くのEBiDANファンに衝撃を与えた原因は自分にある。は、「エビライ」に強い思い入れを持つグループでもある。彼らにとって2度目の参加となった今回の「エビライ」。緻密なグラフィックや7人のアバターが躍動するVTRなど、先端技術を駆使した映像を巧みに取り入れる演出は前日と同様ながら、2日目に用意されたセットリストは彼らが3年間の活動の中で押し広げてきた“げんじぶらしさ”を彩り豊かに感じられるものに。不穏なピアノの旋律に暗喩満載の歌詞が乗る「柘榴」で長野凌大が不敵な笑みを浮かべたオープニングののち、小泉光咲の無垢な歌声で幕を開けるさわやかなラブソング「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」、吉澤要人と桜木雅哉がシャープな低音ラップで切り込んでゆくアッパーなEDMナンバー「0to1の幻想」と、ステージに立つ6人は曲を重ねるごとに異なる表情を見せてオーディエンスを引き込んでゆく。撮影の仕事のため「エビライ」欠席がアナウンスされていた杢代和人の不在を彼のアバターが埋めた「キミヲナクシテ」まで4曲をメドレーで駆け抜けると、ラストナンバー「原因は君にもある。」には急遽会場に駆けつけた和人が参加するというサプライズが。会場が騒然とした空気に包まれる中、凌大は「最後は本当に7人で、皆さんに感謝をお届けします!」と呼びかける。大倉空人の「いくぞ!!」という気合いの咆哮を合図に7人は気迫あふれるパフォーマンスを見せ、和人は決めゼリフを「明らかにエビライ、君たちのせいだ」と言い換えてニヤリと笑みを浮かべる。メンバーの表情には全員でステージに立てた喜びがあふれ、中でもひと際顔をほころばせていた武藤潤は「好きピの参加で優勝!」と歌いながら、力強くガッツポーズを決めていた。
日本人アーティストNo.1のTikTokフォロワー数を抱え、7月にはブラジル・サンパウロでのライブ出演も成功させたONE N' ONLY。「Best Worldwide Group」の受賞者という肩書きでステージに立った6人は、地球の裏側で披露したセットリストからの3曲で、EBiDANファンへ“凱旋パフォーマンス”を届けた。1曲目の「LUCKY」は英語詞が主体のさわやかなナンバーで、6人のポップでエネルギッシュなパフォーマンスと楽しげなシンガロングに、ワンエンのチームカラー・白いペンライトの光もリズミカルに揺れる。KENSHINが盛り上がりを加速させるように「ここにいるみんなも、配信のみんなも、ひとつになりましょう!」と呼びかけたのち、続く「Video Chat」へ。サビでキャッチーな手振りを披露しながら「いいよいいよ!」「踊って!」と、オーディエンスとフレンドリーなコミュニケーションを交わし続ける6人の姿に、客席には笑顔の輪が広がってゆく。攻撃的なパフォーマンスで自身のアイデンティティを示した前日のステージとは打って変わって、自然体の魅力と6人の間に流れる温かな空気感でファンを魅了したこの日のライブの最後に届けられたのは、人気曲の「My Love」。EIKUが「みんなに愛を届けまーす!」と言って柔らかな歌声を響かせると、NAOYAは「EBiDANラブ!」と指ハートのポーズを決める。優しい愛の歌に乗せ、6人それぞれが思いを叫んだ時間はKENSHINの「EBiDAN愛してるぜ!」という声で締めくくられ、リーダーのHAYATOは「このあとも笑顔で楽しんで!」と言ってステージをあとにした。
スタンドマイクが2本だけ置かれたシンプルなステージセットの上、2つのスポットライトが田中雅功と高田彪我の姿を照らし出すと、さくらしめじのパフォーマンスパートへ。前日のアクトでDISH//への深い思い入れと送別のメッセージを表明していた2人だが、この日に披露された2曲もまた、“大好きな先輩”への思いを乗せて届けられた。1曲目に2人がプレイしたデビュー初期からの人気曲「ひだりむね」は、2018年の「エビライ」のシャッフル企画で昌暉がカバーしたナンバー。雅功と彪我が軽やかなギター演奏と優しいハーモニーを聴かせると、オーディエンスは手拍子をしながらゆったりと音に身を委ねた。曲を終え、雅功は「見てくれてたかな? 昌暉くん」とひと言。EBiDANの中で楽器演奏を披露するグループは¬DISH//とさくらしめじの2組ということもあり、ささやかな言葉にも2人がDISH//へと向ける強い思いがにじむ。「自分たちで言うのは恥ずかしいけど、4年前からの成長みたいなものを見せられたら。今の気持ち、届けたい思いを2人で歌にした曲があるので、それを歌って終わります。先輩に捧げます」と雅功が言って2人が披露したのは、別れとその先にある希望を歌う「辛夷のつぼみ」。「奏でるための音が違っても 先でまた会うためにある」と歌うところで雅功はシャツの胸元をぎゅっと握って歌に力を込め、そんな彼の横に立つ彪我は静かに優しい表情を浮かべながら、柔らかな高音で2人の美しいハーモニーを作り上げていた。
ライブ前半パートを締めくくるべく、貫禄を感じるステージパフォーマンスを繰り広げたのはM!LKの5人。深いネイビーカラーのゴージャスなロングコートをまとってファンの前に姿を見せた彼らは1曲目に「HIKARI」を披露し、壮大な銀河のVTRをバックにまっすぐ力強いユニゾンを響かせた。ロングコートを脱ぎ捨てた彼らが白いジャケット姿になると、儚さをはらんだ山中柔太朗のボーカルで幕を開ける「かすかに、君だった。」のパフォーマンスへ。流麗なピアノの旋律に乗せ、青春の輝きと切なさが入り混じる楽曲の世界観を情感豊かに描き出すメンバーの姿を、み!るきーず(M!LKファンの呼称)は熱い眼差しで見つめる。昨年秋にメジャーデビューという新たな1歩を踏み出し、メンバー間の強い絆をもって“アイドルの王道”を邁進している5人が最後に届けたのは、最新ナンバーにしてオリコンのウィークリーシングルチャートで自身初の1位に輝いた「奇跡が空に恋を響かせた」。優しい笑みをたたえながら曲を歌い上げ、オーディエンスをドリーミーな世界へ誘ったと思いきや……ハイライトのセリフパートで佐野勇斗は「やっと出会えたね、ムギュ!」とおどけ顔。ステージ奥の巨大ビジョンには、楽しそうにふざける勇斗と、その奥で“トホホ顔”を浮かべるリーダー・吉田仁人が大写しになっていた。
6組のパフォーマンスを終え、ライブはシャッフルユニットのコーナーへ。2日目公演にはM!LKとDISH//のシャッフルユニット「HOT M!LK」「MASH↑↑」が登場し、この日限りのレアなカバーパフォーマンスを繰り広げた。HOT M!LKが披露したのは、ピュアなラブソング「恋がはじまる」。佐野勇斗役の長野凌大(原因は自分にある。)がピンクツイードのロングコートを翻して堂々とセンターポジションに立つと、塩崎太智役の大倉空人(原因は自分にある。)はキュートな表情満載のアイドル然とした振る舞いでファンを魅了する。吉田仁人役のKEVIN(BUDDiiS)が安定感のあるボーカルで土台を支えれば、普段はなかなかマイクを握ることのない飯島颯(SUPER★DRAGON)も、まっすぐな歌声で曽野舜太役を全う。そして山中柔太朗役のNAOYA(ONE N' ONLY)は落ちサビの自身のパートではにかみながらウィンク。純度100%のカバーで聴衆を笑顔にした5人は、キュートな“HOT M!LK”ポーズを決めてステージをあとにした。
そして、北村匠海役のTETTA(ONE N' ONLY)、矢部昌暉役の小泉光咲(原因は自分にある。)、橘柊生役の曽野舜太(M!LK)、泉大智役の伊藤壮吾(SUPER★DRAGON)からなるMASH↑↑は、DISH//が2014年に発表した「サイショの恋~モテたくて~」をカバー。懐かしの楽曲のチョイスにEBiDANファンが大いに沸く中、舜太が柊生さながらの煽りで「みんな飛べー!」と叫ぶと、客席が揺れるほどのジャンプの波が発生する。ギターを抱えたTETTAと光咲はキュートなポーズを決めながら思春期の悩み多き恋心を歌い上げ、舜太と壮吾はコミカルな表情を浮かべてにぎやかなラップのかけあいを見せる。いつもは落ち着いた佇まいを崩さない壮吾が「せっかく後押ししてやったのにー!」と言いながら舜太とじゃれあうレアなシーンもファンの驚きを誘う中、やんちゃなエネルギーを発揮して8年前のDISH//にオマージュを捧げた4人。最後にTETTAはMASH↑↑メンバーを代表し「DISH//先輩、EBiDAN 12年間お疲れ様でした! シャッフルができてうれしいです!」と、DISH//に思いを伝えていた。
シャッフルユニット2組の熱演の余韻が残る中、ライブ後半は1日目にトリを務めた超特急のアクトで幕開け。前日と同様、オリジナルメンバー5人でステージに姿を見せた超特急は、全員がボーカルを取るエッジーな自己紹介ナンバー「Booster」で口火を切って初っ端から会場を熱くさせる。その勢いのまま、蠱惑的な身振りと表情で観る者を誘う「We Can Do It!」へと展開するとオーディエンスは一層ヒートアップ。カメラに抜かれたカイが「Come on……」とささやくシーンも聴衆の興奮を誘っていた。タカシの豊かな歌唱に乗せ、ダンサーが繊細な動きと表情で切なさを描き出すR&B「You Don't Care」を続け、EBiDAN最年長グループとしての大人の魅力を全開にした5人。MCではEBiDANとしての活動初期の話題に花を咲かせ、ユーキは「大智は演技がめちゃくちゃうまくて、1人だけスターだったんですよ。卒業、感慨深いなあ……」としみじみ語った。
「皆さんそれぞれに、(EBiDANの)推しと出会った瞬間がいろいろあると思うんです。そんな記憶を思い出しながら次の曲を聴いてくれたら」。そんなユーキの言葉とともに5人が届けたのは、彼らがDISH//と一緒に全国を巡り、リリースイベントを行っていた当時に披露していた楽曲の数々だった。「FLASHBACK」「No More Cry」「No.1」と、次々に披露される初期楽曲の数々にオーディエンスが沸き立つ中、メンバーは餞の思いを歌とダンスに込め、力強く真摯なパフォーマンスを盟友へと送る。会場全体が鮮やかなペンライトさばきでひとつになった「No.1」では、タカシが「いつまでも“皿特急”がNo.1や!」と感情の昂りのままに声を上げた。大切な仲間へのあふれる思いをパフォーマンスに昇華した5人は最後に新メンバーの4人を呼び込み、「Burn!」の熱狂の中で自身のステージを締めくくる。カイが「楽しんでいくよ!」と叫ぶと、オーディエンスはこの呼びかけに両手を大きくクロスさせる“バッテンダンス”で呼応。この壮観を目の当たりにしたカイは「EBiDAN最高! ありがとう!」と笑顔を弾けさせていた。
超特急からバトンを受け取り、ステージに上がったのはSUPER★DRAGON。前日には“最新系のスパドラ”を提示する3曲を披露した彼らだが、この日は最新アルバムの収録曲「Pioneer」を1曲目にチョイスした。ドロップパートでダイナミックな群舞を踊り「Go SUPER★DRAGON, keep it real!」と声を合わせて名乗りを上げた彼ら。ジャン海渡が「俺らが最高にカッコいいショーを見せてあげるよ」と言うと「WARNING」へと展開し、ジャンと松村和哉の危険な香り漂うラップに乗せ、自身が得意とするアンダーグラウンドな世界観へと聴き手を誘ってゆく。そのまま「Cruisin'」につなげて会場の空気感をさわやかに塗り替えたのち、「My Playlist」では志村玲於、飯島颯のダイナミックなアクロバットで、ダンサーメンバーのスキルもしっかりとアピールした9人。4曲を終えたところでMCタイムを設けると、古川毅は「今日はなんといっても僕たちのカッコいい先輩の門出の場。そんな偉大な先輩に、もっともっと大きなバトンを渡したいんです。皆さんと一緒にフロアを盛り上げて背中を押せる、カッコいい後輩でありたい」と、9人が今日のステージに懸ける熱い思いを吐露した。「偉大な先輩に負けないように、恥じないように、僕たちのクリエイティブを全部見せたいと思います。最後の曲です」と和哉が告げてスタートしたのは、この日が初披露となった最新曲の「So Woo」。田中洸希のテクニカルなビートボックスも炸裂する中、ファンク色の強いグルーヴィなトラックをダイナミックに乗りこなした9人。幅広い音楽ジャンルを自分たちらしく解釈する“ミクスチャーユニット”としての矜持をしっかりと示し、最終アクトへとバトンをつないだ。
2022年の「エビライ」の大トリを務めたのは、この日のステージがEBiDANグループとして最後のパフォーマンスとなるDISH//。彼らが“ラストステージ”の幕開けに選んだのは、壮大なスケールで“夜明け”を歌う「DAWN」だった。その佇まいに気迫をみなぎらせ、1曲目から絶唱と言えるほどの歌を届ける匠海の姿にオーディエンスが思わず息を飲む中、会場には圧倒的なバンドアンサンブルが広がってゆく。続いて「No.1」をドロップすると、匠海は超特急の同じタイトル曲「No.1」で「いつまでも皿特急がNo1!」と叫んだタカシに「俺たちがNo.1だ!」と、友情のアンサーを返してみせた。2曲を終え、「後輩がつないでくれたバトンを確かに受け取りました」と伝えた匠海。「超特急がやってくれた“俺たちの青春”もグッときちゃって。最後なんだなあって感じがしてます」としみじみ語った彼は「12年間の思い出を、今日全部吐き出せたら。そして今の僕たちをあなたに届けられたら」と、この日のステージに込める思いを明かした。「挨拶代わりに1曲」という言葉とともに送られた大ヒット曲「猫」を経て、「Get Power」でギアを一段上げた4人。がむしゃらに走り続けることの尊さを歌うこの曲で「おい、EBiDANの後輩たち!」と呼びかけた匠海は「完璧じゃなくたてな、前に進んで行けばこんな景色が待ってる。お前ら、もっとデカい景色俺に見せてみろ!」と、ステージの最前線から力強く後輩を鼓舞した。「おーいDISH//ブチかますぞ!」と橘柊生(DJ, Key)とパワフルなラップを炸裂させた「B-BOY」からなだれ込んだアッパーなロックチューン「Seagull」では匠海と矢部昌暉(Cho, G)が向かい合って無心でギターをかき鳴らし、ホール内に渦巻く狂騒を加速させた。
最後の1曲を前に改めてファンと向き合った匠海は、自身がEBiDANメンバーとなった12歳の頃の記憶をたどり「学生時代の青春を全部捧げたのが、この恵比寿学園男子部という場所でした」と語った。「今となってはこんなにたくさんの方が観てくれるほど大きくなって、ダンスも歌もすげえうまい後輩がいて、その真ん中で輝く超特急がいて。なんだかすげえなって思いました」と笑った彼は「今日の『エビライ』はみんながつながって、バトン渡しあってて、すごくいいなって。こんな集団ほかにいないなと思っていました。DISH//は今日で卒業しちゃうけど、みんなのことはずっと見守るし……いつまでもみんなの刺激になるように活躍していきたいと思ってます。本当にありがとうございました」と、仲間とファンへ向けて思いを伝える。12年分の思い出と経験を詰め込んで、4人が最後に届けたのは「変顔でバイバイ!!」。匠海が言葉を噛み締めるようにしながら曲を歌い上げると、柊生は自身のラップパートで「今思い返せば『It's Alright』のくっせえ衣装とかも全部EBiDANの思い出だよな! 俺たちスッカスカの武道館やってんだぜ! そんなスカスカの武道館、助けてくれたのはEBiDANのみんななんだよ、本当にありがとう!」と思い切り叫ぶ。ステージ上にしゃがみ込んで声を振り絞る匠海、立ち上がって会場を見渡しながらドラムを叩く泉大智(Dr)、笑顔でギターを高々と掲げる昌暉。4人それぞれの思いが乗った音がオーディエンスの心を震わせる中でDISH//の“ラストステージ”は幕を閉じた。
エンディングで改めて出演者が舞台上に勢ぞろいし、超特急のメンバーが姿を見せると、匠海は「超特急のさ、『FLASHBACK』とかヤバかった。グッと来すぎて。なんか……いろんなららぽーとを思い出した!」と真っ先に感想を伝えた。ここで各グループの代表メンバーは順にファンへ向けて挨拶。原因は自分にある。代表の凌大が「僕たちにとって『エビライ』は憧れであり夢なので、こうして立てているのがうれしいですし、7人で今日来れてよかったです! 後輩ながら、もっと勢い付けて先輩をヒヤヒヤさせられるようにがんばります!」と意気込むと、ONE N' ONLYのNAOYAはリョウガに「タクヤ!」と呼ばれる“兄弟イジり”をされながらも「この2日間、たくさん刺激をもらいました。僕らONE N' ONLY、もっと胸張ってEBiDANを引っ張っていけるように、明日からまた1歩ずつがんばっていきたいと思います!」と誓う。そして、M!LKを代表してマイクを握った勇斗は「ずっと僕たちは超特急さん、DISH//さんの背中を見て育ってきているので、長い間カッコいい背中を見せ続けてくれてありがとうございます」と伝えたうえで「個人的な話になっちゃうんですけど、僕自身役者の活動もやらせてもらっている中で、目標とかがんばる指針だったのが匠海くんだったので……個人的にさびしい気持ちもあるんです」と、素直な思いを吐露した。
超特急を代表して挨拶に立ったタクヤは「今日でDISH//はEBiDANを卒業してしまいますけど、最後に最高のパフォーマンスが観れましたし、後輩たちは素敵なステージばかりやっていて、EBiDANって切磋琢磨し合える素敵な集団だなと、心の底から思いました」とコメント。そして「一応、超特急がEBiDANのトップになったわけですけど……」と続けると「DISH//が卒業した途端、みんなでもっと売れようぜ!おい、お前ら売れるぞ!」と檄を飛ばす。この宣言にEBiDANメンバーは大盛り上がりで応じ、DISH//の4人は威勢よく拳を上げる同期と後輩の姿を笑顔で見つめていた。
仲間からの熱い言葉を受け、DISH//メンバーは最後に1人ずつコメント。「マジで信じられないです、カーテンに見切れるくらいの場所に立ってた僕が、今こうやってドセンに立ってるんですから。何が起こるかわからないEBiDANだから、お前らがんばるんだぞ!」と力強く後輩を鼓舞した柊生に続き、大智は「僕は12年間EBiDANに所属していましたけど、DISH//に入れたのもEBiDANがあったから。これからはより音楽に本気で向き合って、がんばっていきたいと思います」と語る。「はい、まさきやべ!」とタカシの“やでポーズ”を決めて笑いを誘った昌暉は「みんな本当にパフォーマンス能力が高いし、もっともっと上に行けるなと思いましたし、みんなのことを誇りに思いました。僕らも負けないようにがんばります!」と意気込んだ。そして、匠海の口から飛び出したのは「(さくら)しめじちゃんね、EBiDAN全体曲の演奏はもう任せました!」「M!LKとスパドラは、この先もずっともっと刺激しあって、すげえ2グループになってください」という名指しでのメッセージ。「みんなにもっともっと大きくなってほしいし、これよりももっとすごい景色が見たいです」と客席を見つめた彼は「僕らはもっとその先で、待っててやるよ」と笑顔を見せた。
リョウガの「最後はDISH//へ。この曲で送り出したいと思います」という言葉を合図に届けられたこの日のラストナンバーは、全体曲の「Believe Yourself」。タカシと匠海をはじめ、池田彪馬、潤、EIKUなどが順にマイクリレーをする中、間奏のダンスブレイクでは超特急の新メンバー4人がフィーチャーされ、ボーカルのシューヤがバック転を披露するというサプライズが聴衆の驚きを誘った。そして曲を終え、後輩グループが退場したステージ上では、超特急からDISH//への卒業証書授与というセレモニーが開かれる。タカシから大智へ、ユーキから昌暉へ、思いのこもったメッセージが送られたのち、舞台の中央に立ったのは長年の親友であるタクヤと柊生。「スイッチが入りそうなので、泣かないで聞いてください」と言って涙をこらえるタクヤは、証書を半分に閉じ、柊生をまっすぐに見ながら「俺の中にはずっと柊生がいるし、もちろんDISH//が出る音楽番組は欠かさず観ているし、4人が奏でる音楽が最高に大好きです。なんか今日が最後みたいな感じですけど、最後ではないですよね。本当にありがとう。これからもお互いがんばりましょう!」と思いを伝えた。親友の言葉を受け取った柊生が証書を開くと、そこに書かれていたのは「俺の青春。大好きです。」のふた言だけ。思わず天を仰いだ柊生はタクヤのところへ駆け寄り、力強いハグを交わしていた。
最後にカイが匠海へと証書を手渡すと、匠海は「リョウガもなんかよこせよ!」とリクエスト。これにリョウガは「ひと言だけ、決めました……“変顔でバイバイ!!”」と全力の変顔を4人へ向け、たくさんの笑い声の中でセレモニーを締めくくった。「託しました、マジで!」という匠海の言葉にリョウガは「またいつか“超D”でライブしようね!」と返し、超特急の9人は最後の挨拶をDISH//に託す。匠海、昌暉、大智が「じゃあな!」「バイバーイ!」と何度も客席に手を振る中、柊生は「俺らのライブでまた遊ぼうな!」と力強く叫び、会場をあとにした。
「EBiDAN THE LIVE 2022 ~EBiDAN AWARDS~」2022年8月21日 東京ガーデンシアター セットリスト
オープニングアクト
01. Shining Fire / ZeBRA☆STAR
02. FREEDOM / EDAMAME BEANS
03. Hooper~Let Me / STA*M
オールキャスト
04. New day! New wave!
EBiDAN NEXT
05. With you With me -short ver.-
06. Run on this my way
07. FAKE MOTION -TV size-
BUDDiiS
08. ENCHANT
09. HOT CHEESE
10. SM:)LE
原因は自分にある。
11. 柘榴
12. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
13. 0to1の幻想
14. キミヲナクシテ
15. 原因は君にもある。
ONE N' ONLY
16. LUCKY
17. Video Chat
18. My Love
さくらしめじ
19. ひだりむね
20. 辛夷のつぼみ
M!LK
21. HIKARI
22. かすかに、君だった。
23. 奇跡が空に恋を響かせた
シャッフルユニット
24. 恋がはじまる / HOT M!LK
25. サイショの恋~モテたくて~ / MASH↑↑
超特急
26. Booster
27. We Can Do It!
28. You Don't Care
29. FLASHBACK
30. No More Cry
31. No.1
32. Burn!
SUPER★DRAGON
33. Pioneer
34. WARNING
35. Cruisin'
36. My Playlist
37. So Woo
DISH//
38. DAWN
39. No.1
40. 猫
41. Get Power
42. B-BOY
43. Seagull
44. 変顔でバイバイ!!
オールキャスト
45. Believe Yourself
シャッフルユニットメンバー
HOT M!LK
長野凌大(原因は自分にある。) / 佐野勇斗役
飯島颯(SUPER★DRAGON) / 曽野舜太役
大倉空人(原因は自分にある。) / 塩崎太智役
NAOYA(ONE N' ONLY) / 山中柔太朗役
KEVIN(BUDDiiS) / 吉田仁人役
MASH↑↑
TETTA(ONE N' ONLY) / 北村匠海役
小泉光咲(原因は自分にある。) / 矢部昌暉役
曽野舜太(M!LK) / 橘柊生役
伊藤壮吾(SUPER★DRAGON) / 泉大智役
撮影:笹森健一、米山三郎、小坂茂雄