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私と音楽 第33回 森迫永依が語るSUPER JUNIOR

森迫永依
約1年前2023年08月29日 9:02

各界の著名人に愛してやまないアーティストについて話を聞く本連載。第33回となる今回は、女優・森迫永依にSUPER JUNIORについて聞く。K-POPの世界を教えてくれたという彼らとの出会いや、“推し活”を通して理解できるようになったという韓国語の習得過程など、さまざまな角度から愛を語ってもらった。

取材・文 / 獅々堀智世 撮影 / 梁瀬玉実

SUPER JUNIORはいつまでも特別な存在

昨年、SMエンタテインメントの合同コンサート「SMTOWN」を観に東京ドームに行ったんです。SM所属のグループはどこもすごく好きで応援しているんですが、ステージにSUPER JUNIORが出てきた瞬間、もう彼らのことしか考えられなくなってしまいました。SUPER JUNIORが出演するのはもちろん知っていたけど、いざ本人たちを目の前にしたらただひたすら感動しっぱなしで。すっごい鳥肌が立ちました。何年も叫んでいなかった掛け声が、彼らを目の前にした瞬間、自然と口から出てくるんですよね。SUPER JUNIORをきっかけにK-POPに魅了されて、EXO、B.A.P、BTOB、Block B、AOA、NCT、Kep1er、NMIXX、NewJeans、ZEROBASEONE……本当にたくさんのグループを好きになってきたんですが、SUPER JUNIORはいつまでも私の中で別枠というか、特別な存在だなと改めて思いました。レジェンドです。

K-POPアイドルの方々には日常のありとあらゆる場面で元気をもらっています。「カムバック期間中のグループは毎日朝4時から収録して24時まで働いてるのに、私ががんばれないなんてありえない!」とか、「アイドルたちは屋外でパフォーマンスしているし、真夏日で暑いけど私もがんばろう!」とか。「K-POPアイドルもやっているから私もできる」というマインドで日々己を鼓舞しています。毎日K-POPを聴いて、毎日誰かしらのコンテンツを観て、アイドルの一挙一動に元気をもらって、カムバックとかコンサートの日程をモチベーションに日々がんばって生きている。それくらい心の奥底から熱中して「好きだ」と思えるK-POPの世界を教えてくれたのがSUPER JUNIOR。私の青春であると同時に、K-POPのない人生が考えられない今の私にとって「人生に彩りと情熱をもたらしてくれた存在」です。

SUPER JUNIORが教えてくれた“K-POP界のいろは”

SUPER JUNIORとの出会いは「Sorry, Sorry」でした。中学校2年生のとき、同じクラスだった仲のいい友達がE.L.F(SUPER JUNIORファンの呼称)で、この曲を教えてくれたんです。正直に言うと、最初に聴いたときはあまりピンとこなくて、「ずっと同じリズムで同じフレーズを繰り返してる! 何これ!」と困惑しました(笑)。けど、曲を聴いているうちになんだか癖になってくる。そう思い始めたタイミングで友人から「Mr.Simple」のミュージックビデオを観せられ、あっという間にファンになりました。キャッチーな曲を大勢の男の人達たちがキレッキレで踊っているのが新鮮で、何より「SUPER JUNIORってこんなにカッコいい人たちだったんだ!」と。それまで男性アイドルを好きになったこともなく、K-POPにも馴染みがなかったので、あらゆる面で衝撃を受けました。

思い入れのあるSUPER JUNIORの楽曲はたくさんあるんですが、一番は「Sexy, Free & Single」ですね。この曲、私が彼らを好きになってから初めてリリースされた“カムバック曲”だったんですよ。それまでK-POPアイドルに馴染みがなかった私に、「カムバって活動をしに“戻ってくる”って意味なんだ」「アルバム特典ってこんなに種類があるんだ」と、“K-POP界のいろは”を教えてくれたのが、「Sexy, Free & Single」のときのカムバック活動だったので、楽曲そのものにも強い思い入れがあります。

感動を与えちゃったんだ

運がいいことに、好きになった4カ月後にSUPER JUNIORの恒例ライブ「SUPER SHOW」の開催が決まっていたんです。「待って、会えるかもしれない!」と思って急いでチケットの応募をしたら当選。東京ドームで、初めて生のSUPER JUNIORに対面しました。1日目は友達と行ったんですけど、2日目はネットで知り合った人と参加しました(笑)。初めてSUPER JUNIORのコンサートに行く、右も左もわからなかった私に「団扇を持って行ったほうがいいよ!」「ボードはこうデコるといいよ!」といろいろなことを教えてくれた方で、今もそのお姉さんにすごく感謝しています。終わったらそそくさと「ありがとうございました……」って帰るんですけど(笑)、そういった一期一会の素敵な出会いがあることも含めて、コンサートってこんなに楽しいんだ!という高揚感を教えてくれたのもほかでもないSUPER JUNIOR。とにかく楽しすぎて、少なくとも東京でのコンサートは全公演チケットを確保して足を運びましたね。

私が行った「SUPER SHOW4」は、デビュー当時の曲もたくさん披露されたんです。私が好きになった頃、すでにSUPER JUNIORはデビュー5、6年目の中堅アイドルの立ち位置だったけど、そんな自分も、あたかも古参ファンであるかのように錯覚させてくれる公演で。一方で“私が知らないこれまでのSUPER JUNIOR”も追体験させてくれるような素晴らしい公演でした。デビュー当時の衣装をオマージュした格好でパフォーマンスしてくれるステージから、メンバー1人ひとりの個性を生かしたソロステージまで盛りだくさん。本人たちもパフォーマンスに自信を持っていて、それでいて心から楽しんでいるのが私たちファンにもひしひしと伝わる公演だったので、もう言葉にできないぐらい楽しかったんです。

それと、ライブ当日まで「SUPER SHOW」の1~3のDVDを何度も何度も繰り返し観ていたんですが、実際にライブに足を運ぶと、画面越しに聴いていたE.L.Fの掛け声がまったく同じタイミングで飛び出していて、そういうところにも感動しました。同時に、自分もE.L.Fの一部となって公演に参加できて、そんな自分たちの掛け声にアーティスト側が喜んでくれているのにも感激して。アンコール前、会場のE.L.Fみんなでペンライトをかざしてウェーブをしたんですけど、SUPER JUNIORのメンバーは実際にウェーブを見るのは初めてだったらしく、客席を見て泣いていたのが強く印象に残っています。ただ一方的に感動をもらってるだけだと思っていたのに、感動を与えちゃったんだって。ファンとしての存在意義を感じさせられました。

韓国語を学んで深まった、推しへの愛

動画などのコンテンツを字幕なしで楽しめるくらい韓国語ができるようになったのも、SUPER JUNIORのおかげです。当時、リーダーのイトゥクさんが月曜から金曜まで公開収録のラジオに出演していて。YouTubeでの生配信中にE.L.FのTwitterを見ていたら、みんな「この発言が面白い」とワイワイ実況して盛り上がっているんですよ。だけど韓国語がわからない自分はそこに参加できなくて。私が中学生だった頃は日本語字幕付きのコンテンツがまだ少なかったので、動画などを観ていても「話してる内容は正直わからないけど、なんか楽しそうだなー」と雰囲気だけでしか楽しめなかった。それがすごく悔しくて、本格的に韓国語を勉強するようになったんです。お兄さんたちのことをもっと知りたい一心でめちゃくちゃ勉強して、日に日にメンバーの話す内容がわかるようになってきた経験は忘れられません。

言語を習得するにあたってはインプットを行うのが王道ですけど、外国語を話す推しがいると、動画を観る、曲を聴く、といった推し活そのものがインプットになるんです。思えば、私も毎日K-POPを聴いて、毎日ラジオを聴くという生活を3カ月くらいしているうちに単語はなんとなくわかるようになっていって。ハングルを読めるようになってからは「日々のコンテンツをいかに吸収するか」ということを意識しながら、ひたすら推しのコンテンツを観て、言葉の意味を調べて……を繰り返しました。中学生の頃に勉強し始めて、ある程度字幕に頼らずとも理解できるようになったのは高2くらい。中学卒業後は中級文法の本や分厚い単語本を買って、資格試験に向けた本格的な勉強もして。今ではだいたいのことは理解できます。そう思うと、トータルで要したのは10年くらいでしょうか。

今は多くのK-POPコンテンツに日本語字幕が付いているので韓国語がわからなくても十分楽しめると思うんですが、字幕を追うだけではわからない、話し方から感じ取れるちょっとしたニュアンスがわかるようになることで推しへの愛がより深まるので、言語を学ぶ価値は大いにあると思っています。例えばSUPER JUNIORのお笑い担当のシンドンさんは、トークの間合いや会話のボールの投げ方が本当に上手。あとは私が好きなイェソンさんで言うと、彼のトークを聞いていると「のらりくらりしてるなあ」というのを感じて、愛おしさで思わず頬が緩んだり(笑)。言語を理解できるようになったことで、推しへの愛は確実に深まりました。私、SUPER JUNIORのいい意味でアイドルらしからぬ、近所のお兄さんみたいな雰囲気が大好きなんです。カメラが回っているのにもかかわらずめっちゃ喧嘩したり、高音を出そうとがんばりすぎて放送に乗せられないような変顔になっちゃったり、「普通アイドルはそんなことしないでしょ!」ってツッコみたくなる場面が何度もありました(笑)。私も、私以外のE.L.Fの方々も「自分もみんなに混ざってふざけられると思う」と親近感を感じている方は本当に多いんじゃないかと思います。もちろんファンとアイドルという関係性ではあるけど、その距離を感じさせない親しみやすさは、今も右に出るグループはいないと思っています。

受け取り続けてるポジティブなエネルギー

ライブにたくさん行って、グッズもたくさん集めていたんですが、なんだかんだで一番お金を使ったのは音盤かもしれません。K-POPのCDって写真集ぐらいボリューミーなブックレットが付いていたり、トレーディングカードが何種類も封入されていたり、何かの節目で見返したくなるような工夫が凝らされているのでついつい集めちゃうんですよね。ストリーミングで再生するだけじゃなく、歌詞やブックレットのビジュアルを見ながら曲を聴いて楽曲の世界観にとことん浸るのも楽しみの1つです。そして、アーティストに対していちファンである私ができる“お返し”が音盤を買うことだと思っているので、応援したいグループのアルバムは絶対に購入するようにしています。各形態最低でも2つずつは買いますね。個人の“ちょっとずつ”が売上に響くかなと思うので、微力ながら協力したい……という気持ちでぽちぽちっと。売上はグループの存続に関わりますし、何よりアーティストの方々は全身全霊のパフォーマンスを届けてくれているので、それを受け取る私も音楽を無料で享受するだけじゃなくて、音盤の枚数や売上、音楽番組の順位という形でアーティスト側に貢献したいなって思うんです。

K-POPアイドルを応援しているときの私はいちオタクの森迫でしかないので(笑)、芸能活動をしているからといってアイドルの方々と共通項を感じることはないんですが、唯一、ファンの方々に抱く感謝の気持ちはきっと一緒なんじゃないかなって思っています。自分は、SNSなどでファンの方々から温かい言葉をかけていただくたびに感謝の気持ちでいっぱいになりますし、なんてありがたいんだろうと幸せな気持ちになります。本気で応援してくださる方の言葉や気持ちを受け取って、嫌な気持ちになることなんて1つもない。いただいた言葉は、何年経っても色褪せないし、どんどん幸せな気持ちが積み重なっていく。だからこそ、私もアイドルの方々の言葉をまっすぐ受け止めて、ファンであるこちら側もためらわずに愛を伝え続けていきたいと常々思っています。

SUPER JUNIORも、「E.L.Fがいるから僕たちがいる」「E.L.Fのためにこの曲を準備しました」と何度も何度も私たちに語りかけてくれました。彼らの本心を知ることはできないけど、そのときの言葉に嘘はないんじゃないかなって思うんです。好きになってから何年もの月日が経った今も「私たちのために準備してくれたこの曲を聴いて、私もがんばろう」と、ポジティブなエネルギーを受け取り続けています。こんなにも長年にわたってグループとして活動し続けてくれて本当にうれしいですし、私たちE.L.Fのために歌って踊ってくれていること、本当に感謝のひと言に尽きます。「これからも健康で、ケガなく、楽しく活動してくださったらうれしいです。楽しく健康で幸せに、SUPER JUNIORの皆さんがやりたいことをやりたいようにやってください!」と伝えたいです。SUPER JUNIORの皆さんが幸せなら何もいりません、私は。

森迫永依(モリサコエイ)

1997年9月11日生まれ、千葉県出身。2002年から子役として活動し、ドラマ「あした天気になあれ。」「新しい風」など数々の作品に出演。2006年に実写版「ちびまる子ちゃん」で主役のまる子役を演じてブレイクする。現在放送中のドラマ「紅さすライフ」でヒロインの後輩役を演じているほか、今年10月に開幕する舞台「タクフェス第11弾『晩餐』」への出演が決定している。またドラマや映画のみならず、「呼び出し先生タナカ」「プレバト!!」といったバラエティ番組でも活躍中。

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