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Creepy Nutsそっくり?謎のミャンマー語ロックとは / 「メズマライザー」をヒットさせた2人の新たな才能

再生数急上昇ソング定点観測
10か月前2024年05月17日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで5月3日から5月9日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、なにわ男子が6月12日にリリースする3rdアルバム「+Alpha」のリード曲「Alpha」が20位にランクインした。年齢や性別を問わず、万人を惹きつける彼ららしいきらめきが詰まった楽曲だ。YouTubeのコメント欄にはHey! Say! JUMP、Kis-My-Ft2、King & PrinceなどほかのSTARTO ENTERTAINMENT所属グループのファンからも多くの賞賛の声が上がっている。

25位には、宝鐘マリン & Kobo Kanaeruの「III」が登場した。日本語と英語で掛け合いを繰り広げる2人の歌唱力はもちろん、作編曲を手がけたGigaの魅力があふれている中毒性の高いサウンドや、HASUが監督を務めたかわいくてセクシーなアニメーションも素晴らしい。

55位は&TEAMの「五月雨(Samidare)」が初登場。まるで1本の青春映画のような、構成が作り込まれたクオリティの高い映像がSNSで話題になっている。

60位はMARETUの「イヤイヤヨ」がランクインした。意中の人への愛が強くなったあまりに憎しみを抱きつつも、「やっぱり愛してほしい」と願う主人公。そんな愛憎を、まるでラップのように固く韻を踏んで歌った、一筋縄ではいかない楽曲だ。

音楽のジャンルはもちろん、MVの作風もさまざまな曲が並んだ今週は下記の3曲をピックアップ。

KAMIGATA BOYZ「無責任でええじゃないかLOVE」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場2位

KAMIGATA BOYZは、ジュニアを中心にさまざまなライブを継続的に行ってきた「DREAM IsLAND」プロジェクトの一環として結成された、SUPER EIGHT、WEST.、なにわ男子というSTARTO ENTERTAINMENT所属の関西出身グループによる合同ユニットである。4月29日にその結成がサプライズで発表されると、X(Twitter)で「#KAMIGATA_BOYZ」「#カミガタボーイズ」がトレンドの1、2位になった。

世間の注目が集まる中、彼らは5月3日にシングル「無責任でええじゃないかLOVE」を配信し、MVを公開。ヒャダインが作詞作曲を手がけた同曲は「わろとけ わろとけ」というフレーズの通りに底抜けに明るくて面白い。曲名はSUPER EIGHTの「無責任ヒーロー」、WEST.の「ええじゃないか」、なにわ男子の「初心LOVE」という各グループのデビュー曲のタイトルを合体させたもの。MVには「東京ラブストーリー」「寺内貫太郎一家」「クイズダービー」「進め!電波少年」など、往年のドラマやバラエティ番組のパロディが詰め込まれていたり、笑いに振り切った映像になっていて元気がもらえる。

ところでSTARTO ENTERTAINMENT所属の関西出身グループといえば、5月15日にデビューしたばかりのAぇ! Groupもその1つ。 「無責任でええじゃないかLOVE」のMVにはAぇ! Groupも後半に一瞬出演しており、将来的には4グループ合同での作品が発表されることも期待できるかもしれない。

DooNဒွန်း(ယောက်ဖရေ)ရဲ့သင်္ကြန်သီချင်းအသစ်လေး #သင်္ကြန်ပါဗျိ Thu Kyaw Thu HD Production

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場80位

Creepy Nutsが1月7日に発表した「Bling-Bang-Bang-Born」は、日本のみならず世界中で大ヒットしており、Apple MusicとSpotifyの国内ストリーミングランキングで1位、海外のiTunesヒップホップチャートでも、インドネシア、台湾、ラオス、メキシコ、チリ、ウクライナなど10カ国以上で1位を獲得。オリコン週間ストリーミングランキングでは2月5日付で初めて首位になってから、現在まで16週連続で1位をキープしている。3月3日にYouTubeで公開された「Bling-Bang-Bang-Born」とテレビアニメ「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」のコラボMVに関しては、1億3300万再生を突破しており、いまだ勢いが止まらない。

そんな中「同曲のメロディと酷似している」と話題になっているのが、今回取り上げた楽曲だ。4月頭にSNSで注目されたのち、どんどん拡散してついにこの週のMVランキングに初登場するに至った。メロディは似ているもののヒップホップではなく、歪んだギターが全編で流れるラウドなロックナンバーで、途中で「ソーラン節」のような掛け声があったりと“なんでもあり”な感じが面白くもある。ミャンマー語で表記されているため、アーティスト名も曲名も不明ではあるが、動画の冒頭のクレジットによると、作曲とボーカルはDooNという人物、演奏はSky 4というバンドが手がけているようだ。歌詞を和訳してみると、毎年4月中旬に仏教徒の新年を祝して行われるミャンマーの伝統的な水かけ祭り「ティンジャン」について歌っているらしい。彼らはいったい、何者なのだろう……。

サツキ「メズマライザー」

ウィークリーMVランキングには入っていないが(※デイリーMVランキングでは5月13日に2位に初登場)、4月27日にMVが公開されてからずっと急上昇ランキング上位をキープし、5月17日現在までに約1550万回再生されている話題の楽曲を紹介。この曲はニコニコ動画では史上3番目、Synthesizer V使用曲としては最速でミリオンを達成している。

サツキは2019年に活動を開始したボカロP。2023年に開催された「一緒に作ろう!第16回楽曲コンテストプロセカNEXT」で「CIRCUS PANIC!!!」が高い評価を得て採用されたり、「初音ミク16周年記念1枚絵動画投稿祭」で「極彩色」が5位に入賞したりとこれまでに実績を残している。4月に開催された「ニコニコ超会議2024」では1stフルアルバム「Circus's Detail」を頒布しており、このアルバムに収録された新曲が「メズマライザー」だった。

同曲を作るにあたってサツキは、クリエイターとファンをつなぐファンコミュニティ「pixivFANBOX」で「色々な音がゴリゴリと鳴っている、展開に尖りがあるような曲を作ることに少し飽きてきた今年の2月頭頃、『型を破るためには、まず型そのものに嵌ってみないと意味がないのではないか?』という考えのもと、ポップな曲調の新曲を作ることを画策していました」と解説。ポップでありつつ目まぐるしく展開する音の洪水のようなこの曲の中で、サツキは「どんなに今日を生き抜いても / 報われぬEveryday」という現代の生きづらさを描きつつも、「運も希望も無いならば / 尚更しょうがねえ / 無いもんは無いで、諦めて / 余物で勝負するのが運命」と自分なりの最適解を導き出している。

独創性の高さが魅力であることはもちろん、この曲がヒットした理由にはMVの奥深さもあるだろう。一見ポップな雰囲気の映像だが、重音テトが開始36秒の場面で「助けて」と手話で話したり、1分17秒の場面で助けを求めるハンドサインをしていたりと、不穏な要素が全編にちりばめられている。曲が進むにつれてだんだんと、初音ミクは正気を失ったような表情に、重音テトは疲弊したような曇った表情に変化。表面的には明るく見えていても、心には苦悩や葛藤を抱えているというのは、人間のリアルを表しているようにも思える。

なお曲名の「メズマライザー」は催眠術師を意味する英単語。MVを制作したchannelによると、曲と映像を作った際にサツキとは「催眠術」というテーマだけを共有し、お互いに一切干渉も説明もしなかったそうで、X(Twitter)に「この曲の考察要素を完璧に把握している人はこの世にいない」と投稿している。

channelは、2月にXで公開したDECO*27「ラビットホール」の二次創作動画(通称「PurePure」)で知られるアニメーター。該当のXポストは60万いいね、インプレッション1億6000万という、とてつもない注目を浴びた。その二次創作がバズってわずか2カ月後に公開された「メズマライザー」は、サツキのオファーを受けてchannelがMV作りに携わった作品だったのだ。サツキならびにchannelという、彗星の如く現れていきなり大ヒットを生み出したクリエイターたち。今後どのような作品を作っていくのか、2人の活躍が楽しみだ。

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