2025年の幕開けに合わせ、音楽ナタリーではさまざまなアーティストに「2024年に最も愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を公開していく。今回は「ネットクリエイター編」として、いゔどっと、ヰ世界情緒、サツキ、jon-YAKITORY、吉田夜世、莉犬(すとぷり)が選んだ2024年の3曲を紹介する。
構成 / 橋本尚平
いゔどっと
TOMOO「Mellow」
タイトルにもある通りメロウなピアノの旋律。音数が少ない楽曲の中でしっかり響く歌声に魅了されました。初めてこの曲聴いたのが夕方の帰り道で、帰って速攻で調べ直しました。
Creepy Nuts「堕天」
アニメ「よふかしのうた」のOP楽曲。原作の漫画もアニメも大好きでED曲の「よふかしのうた」も大好きなんですが、「堕天」の軽快なリズムと勢いのあるメロディーが自由な夜を思わせるようでめちゃくちゃ好きでした。毎回一緒に「あっ!!!」って口ずさんでます。
aespa「Whiplash」
トラックが良すぎて衝撃的でした。
ベースの音が特徴的で耳に残るんですが、一方でドラムは軽やかな音色で淡々となっているところが、軽快さと重さの両方を兼ね備えてる感じがしてかっこいいです。また女性ボーカルならではの歌の幅と細かなボーカルの重ねが最高でした。
<プロフィール>
いゔどっと
2015年に動画共有サイトに歌唱動画を投稿し、アーティストとしての活動をスタートさせる。2018年3月に投稿された「flos」の歌唱動画は3200万再生を突破(2025年1月時点)。2022年12月にメジャーデビューし、2023年にTBS系ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ シーズン2」のオープニング主題歌「ぶっ壊してよ」、2024年にテレビアニメ「休日のわるものさん」のオープニング主題歌「遊歩」をリリースした。最新作は1月15日リリースの配信シングル「Amor」。
ヰ世界情緒
田辺玄「呼声」
いつ聴いても一定の温度感でわたし達を迎えてくれるような世界観の広がりや、度量の広さのようなものがとても居心地が良く、今年リリースされた曲の中で1番聴いた楽曲です。独り言も自分の許容量を超えて溢れてしまった気持ちも全てこの曲が受け止めてくれたような気がします。
篠澤広「メクルメ」
1日の始まりや特に絵を描き始める時にお世話になった楽曲です。篠澤広ちゃんの浮遊感のある声とフロクロさんの独創的なサウンドがどこまでも強く突き進んでいって下さるので、その音に飛び乗ってその時々によって、進むべき道に導いてもらったような感覚です。特に途中の「心臓の拍動に抗うように歌った」という歌詞が好きで、自分も聴いていてもっと早く、もっと強く進まなくてはと、活力を沢山もらいました。
Aiobahn feat. 牧野由依「non-reflection」
遠出した先からの帰り道に良く聴いた楽曲です。
サビの電子音が2音繰り返されるパートがあるのですが、聴いているとまるで自分が彗星になったみたいに足取りが速くなって、涙が堰き止められなくなるような、音が激情を掻っ攫っていくような感覚が本当に本当に大好きで、その時に見た夜空や街の明かり、肌を指すような冷たい風が今も忘れられません。
<プロフィール>
ヰ世界情緒(イセカイジョウチョ)
KAMITSUBAKI STUDIO所属の“バーチャルダークシンガー”。シンガーとしてだけでなく、イラスト、ナレーション、声優などさまざまな方面で表現を行う。2019年にYouTubeに動画を投稿する形で活動を開始。2020年2月に初のオリジナル楽曲「物語りのワルツ」をYouTube上で発表した。2024年3月に2ndアルバム「色彩」をリリース。同年10月より、コンセプチュアルなオリジナル曲を発表する「parallel universe」シリーズを始動させた。花譜、理芽、春猿火、幸祜とともに結成したバーチャルアーティストグループV.W.Pでも活動している。
サツキ
SAWTOWNE「M@GICAL☆CURE! LOVE♥SHOT!」
「MIKU EXPO」という海外の初音ミクのライブツアーがあるのですが、その楽曲コンテストにて見事グランプリを勝ち取った楽曲です。楽曲自体のクオリティや、MVまで一人で制作してしまうクリエイターとしてのレベルの高さは勿論ですが、加えて、どこか平成の萌えアニメを思い出させるような懐かしい雰囲気を持っています。今の時代だからこそ味がする楽曲かなと。ミクミクビ~~~ム!
ぬゆり「極々彩々」
ぬゆりさんの最新アルバムから投稿された一曲です。いつまでも進化を続け、聴き馴染みのよくなるサウンドは勿論、絶妙なバランス感覚で構成されている歌詞も面白いです。シュールとシリアスの狭間くらいの歌詞、自分も上手く書けたらどれだけ楽しいだろうと思います。永遠に目標です。
篠澤広「メクルメ」
今大人気のアプリ「学園アイドルマスター」ゲーム内キャラクターの誕生日記念シングル楽曲です。篠澤広のミステリアスで掴みどころのないキャラクター性をフロクロさんの楽曲で上手く表されていると思います。アイドルもの作品とかでこんな尖った曲やっていいんだ……と、そういう面でも衝撃を受けました。
<プロフィール>
サツキ
2019年に「ニルヴァーナ」を投稿して以降、独特の歌詞とサウンドメイクで注目されているボカロP。2024年5月発表の「メズマライザー」は、YouTubeに投稿してから13日という、ボーカロイド曲史上最速(当時)のスピードで1000万を突破。この動画は2025年1月現在、1億1500万再生を超えている。
jon-YAKITORY
レディー・ガガ「Good Morning」
レディー・ガガ氏が映画「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」で演ずる“ハーレイ・クイン”からインスパイアされたアルバムの一曲目です。
「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」を観た時に「レディー・ガガの声ってジャズにも合うのか!」と驚きました。
その流れで本アルバムを聴いたのですが、とくにこの「Good Morning」はハッピーな雰囲気や各楽器のアレンジが好きで何回も聴いていました。コーラスパートが沢山あるのもミュージカル的で個人的に大好きです。
レディー・ガガ氏のジャズへの試みは2021年出したアルバム「Love for Sale」からされていた様なのですが、現代的で最先端なポップアーティストのイメージが強かったので、こういうクラシカルなものとの融合はどちらの良さにも改めて気付かせてくれるので、いちリスナーとしてすごく楽しいです。
Ginger Root「Better Than Monday」
Ginger Root氏は「Loretta」で知ってから好きで聞いていたのですが、2024年に出たアルバム「SHINBANGUMI」でさらに好きに——もはやゾッコンになりました。Zepp DiverCityのライブにも行ったのですが、めちゃくちゃ楽しくて良いライブでした。
「Loretta」の頃に僕が抱いたレトロな世界観は維持しつつ、もっとファンクかつポップでキャッチーになっていて、このスタイルは僕のあこがれです。
アルバム「SHINBANGUMI」は全曲好きなのですが、「Better Than Monday」はとくに好きです。ノリ、リフになっているシンセの音作り、ベースフレーズなど好きなポイントは沢山ありますが、全体サウンドの空気感というか、”塩梅”みたいなものに魅せられて、実家に帰るが如く何回も聞いてしまいます。全体的にはLo-fiなサウンドなのですが、煙たすぎずしっかりワクワクさせてくれる。実はボーカル以外はそんなにLo-fi処理してないのかなあ…とにかくサウンドの全体バランスが最高だと思います。
また、曲の展開や歌詞も大好きです。等身大ですが前向きで、自然に頑張ろうという気持ちにさせてくれます。あああダメだ長くなってしまいそうなのでこの辺で終わりにしておきます!
宝鐘マリン&Kobo Kanaeru「III」
Giga氏作編曲の曲なのですが、少し怪しげな雰囲気もある盛りアゲ系な曲です。Giga氏は毎度毎度いい曲を生み続けていて尊敬します。
こちらの曲は日本語と英語が入り乱れる曲なのですが、違和感が全くないどころか、構成が完璧ですごく美しい曲だと思います。本当に無駄が一切ないのですが、聴いていて忙しないとは全く思わず自然とアガれる。そして遊び心もしっかりあるという。素晴らしいです。
宝鐘マリン氏とKobo Kanaeru氏はどちらもVtuverで、僕自身Vtuberが好きで色々見ているのですが、この曲はお互いの個性がしっかり出ながら音楽的にも美しいというところでハマった一曲です。宝鐘マリン氏のセリフパートもいいですし、Kobo Kanaeru氏のラップパートがとてもかっこいいです。二人とも声が良く活舌も良いので曲に負けずに乗りこなしている印象で、Giga氏との掛け算的な楽曲になっていてとても良いです。
サブスクにはInstrumentalもあるのですが、展開の多さと作り込み、エキセントリックな音使いがハッキリわかるのでそっちもおススメです。
<プロフィール>
jon-YAKITORY(ジョンヤキトリ)
2013年6月に「Heretic」をニコニコ動画に投稿し、ボカロPとしての活動を開始。Adoをフィーチャリングに迎えた2020年発表の「シカバネーゼ」が大きな話題を呼び、翌2021年には再びAdoとのコラボでアクションゲーム「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」の主題歌「蝸旋」を制作した。新しい学校のリーダーズのサウンドプロデュースやGLIM SPANKYのリミックスなども担当。2023年8月に公開した「混沌ブギ」は大ヒットとなり、2025年1月現在YouTubeでの再生数が5300万を超えている。
吉田夜世
ヨルシカ「晴る」
僕はヨルシカのスピード感あるロックが大好きなので、「晴る」はリリース当初から今までずっと聴き続けています。サビに突入する際にメロや編曲など曲全体で演出される開放感が物凄く、とても参考にしています。また、この曲に限った話ではありませんが、歌詞の文学性という点においてn-bunaさんの教養が滲み出ており、創作意欲に加えて読書欲が刺激されます。
HIMEHINA「愛包ダンスホール」
こちらは2023年末リリースのため、タイミングとしては2024年に愛聴した曲となりました。ボカロ歌唱版も存在するため、Vtuberの曲でありボカロ曲でもあるという面白い立ち位置の曲です。曲調もまた両界隈の良いとこ取りをしているような雰囲気で、良い意味でとんでもないバランスの上に成り立っていると感じます。あまりにもハマったので影響を受けすぎてしまう懸念があり、自分が作曲をする際には影響を排除するよう頑張っていましたが、おそらく全く排除できていないと思います。くやしい。
たま「さよなら人類」
すみません、完全に逆張りで昔の曲を入れてみました。とはいえ2024年に(第5次くらいの)マイブームが来たのは事実で、特に9月以降は聴きまくっていました。どれだけの年月が経っても新鮮味は失われることなく、J-POPにおける一つの到達点としてあり続けていると感じます。ここで紹介したのは、聴いたことがない方に布教したいという意図もあります。聴いてくれ~~~~!
<プロフィール>
吉田夜世(よしだやせい)
2020年6月に「たゆたう箱の中で」でボカロPとしての活動を開始。2023年11月に投稿した「オーバーライド」が大きな話題を呼び、Billboard JAPANが集計する「上半期ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」で首位を獲得した。2024年4月公開の「I know 愛脳.」は、スマートフォン向けゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」の実装楽曲公募企画「一緒に作ろう!第20回楽曲コンテストプロセカNEXT」で採用された。
莉犬(すとぷり)
Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」
Mrs. GREEN APPLEさんの曲が大好きで……! 2024にリリースした曲でいえば「ライラック」も沢山聴かせて頂いたんですが、「ケセラセラ」が大好きすぎてずーっと聴いてます(笑)。
「生まれ変わるならまた私だね」という歌詞が特に好きで、自分を肯定してあげられるようなフレーズに胸を打たれて、自分も誰かを肯定してあげられるような音楽を作ろう!と毎回刺激を貰っております!
とても幸福感が溢れる楽曲です! 大好きです!!
YOASOBI「UNDEAD」
こちらの曲は西尾維新さん原作〈物語〉シリーズのアニメの主題歌です!
〈物語〉シリーズが大好きなので、続編のアニメ化を知った時は本当に嬉しかったですし、YOASOBIのAyaseさんが〈物語〉シリーズが大好きだと仰っていたので、曲を聴くのが楽しみでした。
いざ聴いてみると本当に作品にピッタリな内容で、作品への愛も感じて、曲も歌も素敵でYOASOBIさんはいつだって新たな魅力に溢れている……! なんだこれは……!!!と感動しました!!
曲を聴いてからは日常生活でずーーーっと口ずさんでいます!!!(笑)
ちゃんみな「NG」
ちゃんみなさんプロデュースで行っている「No No Girls」というオーディションのテーマソングです! オーディション番組が好きなのでそちらをきっかけにこの曲と出会って、大好きな楽曲となりました!
この曲を初めて聴いた時に、女の子たちに本当に勇気を与えれる楽曲だなと思って感動してました。元々ちゃんみなさんの楽曲もちゃんみなさんの人柄もとても素敵だなと思っていたのですが、より一層、ちゃんみなさんの温かさを感じて。
MVにもメッセージが込められていて、そんな沢山のメッセージを受け取った女の子たちがコメント欄で想いを綴っていて、素敵な空間だなと思ったことを覚えています!
人それぞれでいいんだよな! 自分を大切にしよう! と勇気をくれる楽曲です!!
<プロフィール>
莉犬(リイヌ)
2.5次元アイドルグループ、すとぷりの赤色担当。歌い手としての活動を中心にしつつ、アニメ制作も手がけ、また声優としても活動の幅を広げている。ソロでは2019年に「タイムカプセル」、2022年に「シャッターチャンス!」という2枚のアルバムを発表。すとぷりとしては、2023年大晦日に「NHK紅白歌合戦」に初出場し、2024年7月にグループ初のアニメーション映画「劇場版すとぷり はじまりの物語~Strawberry School Festival!!!~」が公開された。
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