大きなものから小さなものまで、“最近のK-POP”の話題を振り返るマンスリー連載「KPOP、最近どう?」。2025年の初月ということもあってか、今月は大規模公演やツアーの発表、ビッグネーム同士のリリース告知など多くの“大型案件”が予告されました。また中旬に行われた、SMエンターテインメントの合同ライブ「SMTOWN LIVE 2025 in SEOUL」では、アーティスト同士の名曲カバーから男子練習生の公開、新ガールズグループのお披露目まで、さまざまなトピックが話題に。本稿では、そんな1月のK-POPの話題から複数をピックアップしご紹介します。
文 / 岸野恵加 イラスト / ちぎりパン
1. ロケ地に小田急線、ジャケットに伊藤潤二
2025年最初の1カ月は、バラエティ豊かなアーティストの新作と、フレッシュな新人のデビューが印象的でした。まずはオンユ(SHINee)が、6日に4thミニアルバム「CONNECTION」をリリース。リード曲「Winner」のミュージックビデオはチェコ・プラハで撮影されました。
同日にリリースされたBOYNEXTDOOR初の配信シングル「IF I SAY, I LOVE YOU」は、チャートで自身最高順位を記録。歌詞に盛り込まれた「愛してる」という日本語のフレーズも話題を集めました。1月30日には、初コンサートツアーの日本公演「BOYNEXTDOOR TOUR ‘KNOCK ON Vol.1' IN JAPAN」がスタートしています。
新年1発目に強烈な印象を残したのは、SEVENTEENのHOSHI、DK、SEUNGKWANからなるBSSの「TELEPARTY」。「青春はまさに今」を意味するリード曲「CBZ(Prime time)」はスウィングジャズとカントリーを基調とした楽曲で、3人がエネルギッシュに躍動します。BSSは敬愛するD-LITE(BIGBANG)のYouTubeコンテンツ「家D-LITE」に出演した際に、天井知らずのテンションの高さを見せていました。
ミンニ((G)I-DLE)は、ミニアルバム「HER」で20日にソロデビュー。ゲストに同じタイ出身であるテン(NCT、WayV)を迎えた収録曲「Obsession」のパフォーマンスビデオでは、 テンの膝にミンニが頭を預けるシーンが大きな反響を呼びました。
IVEは2月3日にリリースする新譜より、「REBEL HEART」を1月13日に先行リリース。MVは渋谷や小田急線ホームなど日本で撮影されたシーンも多く、話題を呼びました。またZEROBASEONEは韓国で1月20日に「Doctor! Doctor!」を、日本で1月29日に1st EP「PREZENT」をリリース。「PREZENT」のジャケットイラストはホラーマンガ家の伊藤潤二が手がけ、異色コラボが展開されています。
20日には、GOT7が約3年ぶりに完全体でカムバック。メンバーは幼少期の写真を背中にプリントしたパーカーで音楽番組「MUSIC BANK」に“出勤”し、変わらぬ仲のよさをうかがわせました。そしてJYPエンターテインメントから7人組の新ボーイズグループ・KickFlipが、21日にデビュー。2021年放送のサバイバル番組「LOUD」で選ばれたゲフン、アマル、ケイジュ、ドンヒョンが、ついにデビューを果たしました。
このほか1月は、CIX、GFRIEND、キノ(PENTAGON)、フィイン(MAMAMOO)、クォン・ウンビ、ONEUS、RIIZE、NCT WISH、HUH YUNJIN(LE SSERAFIM)らも新曲を発表。JEONGHAN(SEVENTEEN)は、日本のバンド・Omoinotakeの楽曲「Better Half」にゲスト参加しました。7日にデビューしたジェンダーレスコンセプトの4人組グループ・XLOVも、今後の活躍が期待されています。
2. 2グループが初開催、日本スタジアム公演
1年の始まりということもあってか、1月には今後が楽しみになる大型公演や、リリース情報が多数発表されました。昨年10月に除隊したBTSのJ-HOPEは、15都市を巡るワールドツアーを2月から開催。日本では埼玉と大阪で公演が行われます。J-HOPEは1月23日、フランスのチャリティイベント「Le Gala des Pièces Jaunes」のオープニングで熱いパフォーマンスを披露し、3万5000人を沸かせました。なお、この「Le Gala des Pièces Jaunes」にはBLACKPINKのロゼ、BIGBANGのG-DRAGON、SOL(テヤン)も出演。舞台裏ではドラマ「イカゲーム」主演俳優のイ・ジョンジェ、J-HOPE、G-DRAGONが和気あいあいと交流していたようです。
ENHYPENは26日に埼玉、福岡、大阪を巡るドームツアーを終えると、日本では初となるスタジアム公演を夏に開催することを告知。またStray Kidsは、開催中のワールドツアー「dominATE」の追加公演を発表し、世界34都市で55公演と自己最大規模のツアーになることが決定しました。日本でも5月に静岡・エコパスタジアムにて4DAYS公演が行われます。
TOMORROW X TOGETHERは、3月から日本6都市を巡るアリーナツアーを開催。IVEは4月に4都市でのアリーナツアー、 NCT 127は3月から行うツアーの追加公演として、5月に東京ドーム公演を実施することを発表しました。KISS OF LIFEは、初のワールドツアーの日本公演をゴールデンウィークに開催。そしてEXO-CBXは2月に、6年ぶりとなるファンミーティングをぴあアリーナMMで実施します。
先が楽しみになる予定といえば、BLACKPINKメンバーは今後リリースするソロ作品の情報を続々と公開。ワールドワイドなコラボが注目を浴びています。ジェニーが3月7日にリリースする1stアルバム「Ruby」には、デュア・リパ、チャイルディッシュ・ガンビーノ、ドミニク・ファイク、ドーチ、FKJ、カリ・ウチスという豪華な面々が参加。また2月7日には、リサがドージャ・キャット、RAYEとコラボした「Born Again」がリリースされました。
ジスはアメリカのワーナーレコードとグローバル契約を締結。2月14日にミニアルバム「AMORTAGE」を発売します。2年前に発表したソロデビュー曲「FLOWER」はMV再生数が5.7億回(2025年2月現在)を突破しているだけに、今回はどんな作品なのか期待が膨らみます。そしてブルーノ・マーズとコラボした「APT.」が根強くヒット中のロゼは、ブルーノの新曲「Fat Juicy & Wet」のMVにカメオ出演。レディー・ガガとも共演しており、グローバルな存在感を示しました。
3. 歌い継がれるSMの名曲
こちらの項では今月の大型イベントを振り返り。4、5日には、みずほPayPayドーム福岡にて大型授賞式「第39回 Golden Disc Awards」が開催され、豪華アーティストが集結。SEVENTEENは単独公演のトリを飾る楽曲としておなじみの「VERY NICE」も披露し、華やかで貫禄たっぷりのステージに、ファン以外からも賞賛の声が続出しました。また4年ぶりに再集結したGFRIENDのステージには、はかなげな美しさに筆者もつい涙を誘われました。
11、12日には、SMエンターテインメントのアーティストが集結した「SMTOWN LIVE 2025 in SEOUL」が韓国で開催されました。豪華なコラボステージも多数展開され、なんと5時間を超える大ボリュームの公演に。aespaによるf(x)「Rum Pum Pum Pum」や東方神起によるRed Velvet「Psycho」など、珠玉のカバーステージも話題を呼んでいます。 そして男性練習生もパフォーマンスを披露したほか、aespa以来およそ4年3カ月ぶりのSMのガールズグループとして2月24日にデビューするHearts2Heartsの予告映像が公開され、ファンの期待を煽りました。なお日本では、8月に「SMTOWN LIVE 2025」が東京で行われます。
今年30周年を迎えるSMエンターテインメントは、2月14日に創立30周年記念アルバム「2025 SMTOWN : THE CULTURE, THE FUTURE」をリリース予定。その中から、RIIZE「Hug」とNCT WISH「Miracle」が1月に先行リリースされました。「Hug」は2004年に発表された、東方神起のデビュー曲。RIIZEはステージビデオで学生服を着て歌い、さわやかな歌声を響かせています。
また「Miracle」は、2005年にリリースされたSUPER JUNIORのヒット曲。ヒットメーカーKENZIEによって、ニュージャックスイング調に生まれ変わりました。企画色の高いリリースながら、2グループとも音楽番組でのパフォーマンスも披露しています。
4. MONSTA Xジュホンが連れ去られ…
そのほか、今月もさまざまなトピックがありました。昨年末をもってPLEDISエンターテインメントとの専属契約を終了したfromis_9から、ソン・ハヨン、パク・ジウォン、イ・ナギョン、イ・チェヨン、ペク・ジホンの5人が新事務所ASNDに移籍したことが明らかに。グループ名の使用については、PLEDISと協議しているそうです。またLUN8からウンソプが脱退し、ドヒョンとジウノが活動を休止。その後2月7日に、日本人の新メンバー・ユウマが加入することが発表されました。
23日に除隊したMONSTA Xのジュホンは、除隊した瞬間にMONSTA Xのバラエティコンテンツの制作チームによって連れ去られ、慌てるジュホンの表情がファンの笑いを誘いました。MONSTA Xではキヒョンが2月21日、ヒョンウォンが5月13日に除隊する予定です。またTHE BOYZから初の入隊者として、サンヨンが3月17日に陸軍軍楽隊に入ることが明かされています。
LE SSERAFIMのSAKURAは、趣味の編み物をモチーフにした公式グッズ「KKUROCHET」をローンチ。ペンライトに被せられる帽子のDIYキットやポシェットなど、かわいいデザインが話題となり、完売が相次ぎました。近頃、世間で編み物がブームとなりつつあるのは、SAKURAの影響も大きいと言われています。
またRIIZEのソヒの実姉であるイ・ジミンが、サバイバル番組「UNDERCOVER」に出演し、外見もそっくりと話題に。ソヒに負けず劣らずの抜群の歌唱力を披露し、「いつか姉弟コラボしてほしい」という声も多く見られました。
パリ・ファッションウィークには、今回もK-POPスターが多数参加。サナ(TWICE)と坂口健太郎、J-HOPE(BTS)と平野紫耀(Number_i)、ジス(BLACKPINK)と中谷美紀といったレアなツーショットもキャッチされました。TikTokでは2011年リリースのOrange Caramel「上海ロマンス」が一大ブームを巻き起こし、Stray Kids、BSS、IVE、ILLIT、NCT WISH、iznaなど数多くのグループがチャレンジしています。また「ケンチャナ(大丈夫)!」というフレーズが印象的な、ベトナムのラッパー7dnightによる「Không Sao Cả」もバズり中。aespaやLE SSERAFIM、ATEEZなどがチャレンジに参加しています。
【1月】音楽番組、最近どう?
1月に放送された韓国の主要音楽番組にて1位を獲得した楽曲をご紹介します。「HOME SWEET HOME (feat. TAEYANG & DAESUNG)」をはじめとした昨年リリースのヒット曲やBSS、ミンニ、IVEといった人気の中堅アーティストの新曲が1位を勝ち取る中、BOYNEXTDOORとn.SSignという2023年デビューの若手グループもランクイン。なお新曲「Love Potion」が10日放送の「MUSIC BANK」で首位となったn.SSignにとっては、今回がデビュー後初めての1位獲得となりました。
THE SHOW
なし
SHOW CHAMPION
なし
M COUNTDOWN
1/2 なし
1/9 Stray Kids「Walkin On Water」
1/16 BOYNEXTDOOR「IF I SAY, I LOVE YOU」
1/23 IVE「REBEL HEART」
1/30 IVE「REBEL HEART」
Music Bank
1/3 ROSE & Bruno Mars「APT.」
1/10 n.SSign「Love Potion」
1/17 BSS「CBZ(Prime Time)」
1/24 IVE「REBEL HEART」
1/31 ミンニ((G)I-DLE)「Her」
Show! Music Core
1/4 なし
1/11 G-DRAGON「HOME SWEET HOME (feat. TAEYANG & DAESUNG)」
1/18 G-DRAGON「HOME SWEET HOME (feat. TAEYANG & DAESUNG)」
1/25 IVE「REBEL HEART」
INKIGAYO
1/5 G-DRAGON「HOME SWEET HOME (feat. TAEYANG & DAESUNG)」
1/12 G-DRAGON「HOME SWEET HOME (feat. TAEYANG & DAESUNG)」
1/19 BOYNEXTDOOR「IF I SAY, I LOVE YOU」
1/26 IVE「REBEL HEART」
2024年12月のひとりごと
ライター 岸野
中学生の息子がスケーターなので、KickFlipというグループ名につい反応してしまいます。
編集 獅々堀
幼い子供たちからもカリスマ的人気を誇るIVEが、ポジティブな自己受容やセルフラブを歌う楽曲を継続的にリリースしているのがすごく素敵だなとしみじみ。「IVE EMPATHY」素晴らしかったです。
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