ミュージシャンの楽曲制作に欠かせない“お供”を掲載する本企画。第14回はヤマモトショウが登場し、古今東西の哲学、思想、人名、書名などを収めた事典「岩波 哲学・思想事典」を紹介する。
構成 / 安部孝晴
楽曲制作を支えるアイテム
岩波 哲学・思想事典
楽曲制作の合間にパラパラと読んでいる書籍です。各項目の長さがほどほどで、それなりに中身があるので小休止にちょうどいいですし、万が一、何かの役に立つかもしれません。これより面白いと本に集中してしまいますし、これよりつまらないとわざわざ読む価値がないので、そういった意味でもちょうどいいです。いつまで経っても読み終わることがなく、持ち歩けないという点以外は非常に優れています。
私が持っている本の中で最も分厚いものの1つで、十分な体積があるので有事の際は枕として使うこともできます。睡眠が足りないといい曲はできません。ただし、これで寝るとうなされます。
楽曲制作におけるこだわり
曲作りで行き詰まることはあまりないので、どちらかといえば、休み方にこだわっています。集中を途切れさせず、いかにうまく休息を取るか。面白い本を読み始めるのは危険なので、やはり「岩波 哲学・思想事典」がちょうどいいです。
また、作業用のスタジオが複数あるので、できあがるものに何かしら違いが出たらいいなと思い、各地の機材に微妙な差を付けています。
楽曲制作の喜び / 苦しみ
基本的に自分の楽曲ではなく、アーティストの楽曲を作る仕事なので、制作自体は苦しくないのですが、作ったものが世に出ないこともあり、そうなると非常にさみしいです。
うれしい瞬間はいろいろありますが、完成した曲をリリース前に1人で存分に聴けるのは、ちょっとした役得かもしれません。リリース後にネット上で繰り広げられている考察を見るのも面白いです。
プロフィール
ヤマモトショウ(ヤマモトショウ)
1988年生まれ、静岡県出身、東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒の作詞家、作曲家、編曲家、fishbowlのプロデューサー。2012年から2015年までふぇのたすのメンバーとして活動したのち、でんぱ組.inc、私立恵比寿中学、ばってん少女隊、リルネードら多数のアーティストに詞や曲を提供している。2024年2月にはミステリー小説「そしてレコードはまわる」を上梓。FRUITS ZIPPERに書き下ろした楽曲「わたしの一番かわいいところ」はTikTokで30億回再生を記録している。
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