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スカパラ、23年越し「DOWN BEAT ARENA」で35周年集大成!“世界一幸せなバンド”が鳴らした祝福

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:青木カズロー)
3か月前2025年04月02日 3:03

東京スカパラダイスオーケストラが、3月20日に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブ「東京スカパラダイスオーケストラ 35th Anniversary Finale『DOWN BEAT ARENA PARTII』」を開催した。

23年越しのパート2

2002年7月に横浜アリーナで「DOWN BEAT ARENA」と冠したアリーナワンマンを開催し、ゲストに迎えた田島貴男、チバユウスケ、奥田民生とともに熱狂の一夜をバンドの歴史に刻んだスカパラ。デビュー35周年というアニバーサリーイヤーのフィナーレを華々しく飾るため用意された本公演は、この「DOWN BEAT ARENA」の“23年越しのパート2”という位置付けで実施された。「DOWN BEAT ARENA」2度目の出演となった田島をはじめ、宮本浩次、石原慎也(Saucy Dog)、長屋晴子(緑黄色社会)、幾田りらと、今回も錚々たるゲスト陣が集結した。

横浜アリーナの広い舞台上、バンドセットの奥に掲げられた大きな“富士ロゴ”のバックドロップ。23年前の光景と重なるシンプルなステージセットが観衆の期待を煽る中でSEが鳴り響く。リズムセクションの5人が姿を見せると、大森はじめ(Per)は「We are 東京スカパラダイスオーケストラ!」と名乗りを上げ「『DOWN BEAT ARENA PARTII』、始まるぞ!」と号令。そしてバンドは、23年前にも1曲目を飾った「SHOT IN THE DARK」でライブの幕を開けた。時を超える粋なオープニング演出、そしてNARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor Sax)、谷中敦(Baritone Sax)がアリーナの客席通路から姿を見せるサプライズに、一瞬にして沸き立った会場。2曲目の「¡Dale Dale!~ダレ・ダレ!~」へと展開すると、谷中は「23年越しのパート2だ! 思いっきり騒げー!」と呼びかけ、ステージ上の9人とオーディエンスは「La-la-la-la-la-la-la!」の大合唱でひとつになった。

「スカパラが横浜アリーナに帰ってきたぜ!」。加藤隆志(G)が快哉を叫んだ「Pride Of Lions」では、客席から自然と上がるシンガロングの声に、沖祐市(Key)もハイテンションにステップを踏みながら笑顔を浮かべた。3曲を終えオーディエンスと向き合った谷中は「パート2ができるのは幸せだね」と噛み締め、そして「23年前の自分に負けたくないね。23年前のお客さんに負けたくないね。世の中のつまんないことに負けたくないね! 戦うように楽しんでくれよ!」と力強く呼びかける。

横浜アリーナのステージで盟友と“再会”

そしてバンドは、ここ数年のライブでは定番となったメドレーコーナーへ。「Glorious」のアップリフティングなアンサンブルでタオル回しの旋風を巻き起こしたかと思えば、沖の奏でる緊迫感に満ちた旋律が導いた「SKULL COLLECTOR」では、雷音轟く中で川上つよし(B)が聴かせる巧みなベースソロがシリアスなムードを深めていく。CMソングとしてもおなじみの「CALL FROM RIO」に、北原の遊び心に満ちた演奏とGAMOのパワフルなMCの掛け合いが楽しい「SOUL GROWL」。23年前の「DOWN BEAT ARENA」でも届けられた3曲を続けたのち、メドレーを締めくくる「天空橋」では手持ちのキーボードでステージを縦横無尽に駆け抜ける沖のプレイと「わっしょい!」コールに笑顔の輪が広がっていく。会場を十分に温めたところで、谷中は「23年前、一緒にこの横浜アリーナのステージに立ちました」と切り出し、ここで盟友・田島貴男をステージに呼び込んだ。

スカパラの9人と同じ、ピンク色のジャケットに身を包んで現れた田島が息を整え歌い出したのは「接吻」。歌い出しのワンフレーズで聴衆を色めき立たせたこの曲を、田島とスカパラは艶やかな歌声と音色で紡ぎ届けた。田島がソウルフルなフェイクを響かせ曲を締めくくると、23年前の初コラボの思い出話に花を咲かせた2組。「俺に歌(のオファーが)来るの、遅いなと思ってた。ずっと待ち望んでいた」と田島が言うと、谷中は「最高にいい歌詞を書く人に対して、こっちは初めて歌詞を書くわけだから!」と、当時の心境を振り返る。そんなやりとりを経て、「DOWN BEAT ARENA」でも歌われた「めくれたオレンジ」へ。谷中が初めて作詞を手がけた楽曲にして、リリースから23年間変わらずにスカパラリスナーの心を揺さぶり続けてきた名曲の洒脱なサウンドがアリーナの大空間に響きわたる。オーディエンスはその世界観に酔いしれるように、2組の演奏に身を委ねていた。

田島を送り出し、加藤のリードによって「火の玉ジャイヴ」のイントロが奏でられると、ステージには譜面台が登場。この流れも23年前と同様のもので、バンドは随所に「DOWN BEAT ARENA」へのセルフオマージュを盛り込みながらライブを進めていく。メンバーそれぞれの卓越したプレイによる、精緻かつ力に満ちたサウンドがオーディエンスを圧倒する「Great Conjunction 2020」、熱くスタイリッシュなギタープレイを炸裂させる加藤が注目を一身に集めた「ONE EYED COBRA」。彩り豊かな楽曲の数々で聴衆の体を揺らすと、マイクを取った沖は「スカパラみたいな形のバンドが長い間続けてこれたのは皆さんのおかげです」とファンに感謝を告げる。そして「インストで、この大事な曲をぶちかまそうと思います」と、「めくれたオレンジ」と同じ2002年リリースの“歌モノ3部作”の1曲で、奥田民生がボーカルを務めた「美しく燃える森」をインストバージョンで披露。心技体すべてを鍵盤に注ぎ、1音1音に魂を込める沖が奏でる流麗な旋律は、エモーショナルに聴衆の心を揺さぶった。

「DOWN BEAT ARENA」に吹いた新しい風

そしてライブ中盤からは、2022年から2023年にかけて発表された“管楽器3部作”のゲストボーカルたちが続々と登場し、「DOWN BEAT ARENA」に新たな風を吹き込んでいった。「23年前の自分たちには想像もつかなかったゲストです!」という谷中の紹介とともにステージに姿を見せた幾田りらは、この日がライブ初披露となった最新曲「百花繚乱」をスカパラの演奏で歌唱。瑞々しさと艶やかさが共存する無二のボーカルで観客を魅了する。スカパラの9人に歓迎され「本当にうれしいです。こんなに素敵なセッションをさせていただいて」と喜んだ幾田は、続いてゲストボーカルを務めた「Free Free Free」を歌唱。彼女のクリアな発声はスカパラのパワフルな演奏の上で弾むように響き、会場に心地よい高揚をもたらしていた。

続くMCパートで、「DOWN BEAT ARENA」初開催当時に幾田は1歳だったことに触れた茂木欣一(Dr)は「23年前には1歳だった人ともコラボできてる。最高の未来だよね! この先の未来もずっと皆さんのそばにいられるように最高の演奏を続けていきます」と約束。そして「最高の“一日花”を咲かせようぜ!」と、朗らかな笑顔と歌声で「一日花」を届けた。そののち「いつも会うたびにカリスマ的な才能を感じます!」と谷中に紹介されてステージに姿を見せたのは石原慎也。Saucy Dogの楽曲「いつか」をストーリー性豊かに歌い上げた彼は、スカパラメンバーからの絶賛の声に「いつもこうやって恥ずかしいくらい褒めてくれるんです」と照れ笑いを浮かべる。昨年11月に実施されたスタジアムライブ「スカパラ甲子園」にも参加した石原の「今日は甲子園を超えていきます」という誓いとともに届けられたのは「紋白蝶」で、「低空飛行する恋人たちの歌」と谷中が紹介したこの曲の物語を、石原は繊細なニュアンスのボーカルとパワフルなチューバプレイで鮮やかに描き出してみせた。

“管楽器3部作”最後のコラボ相手である長屋晴子は、谷中の「会うたびにものすごいポジティビティで自分たちを吹き飛ばしてくれます!」という紹介とともにステージに姿を見せ、緑黄色社会「Mela!」を1曲目に届けた。「私も混ぜてー!」とバンドの輪の中に飛び込んだ彼女は、一点の曇りもない突き抜ける歌声を聴かせ、リズミカルなハンドウェーブで客席を巻き込んでいく。その圧倒的な陽のパワーを谷中が「こんなに完璧な人、見たことない。長屋さんは“表”しか見えない」と称すと、「会うたびに言ってくれるんです」と恐縮した長屋。続いて2組がコラボした「青い春のエチュード」は卒業の時期の恋心を歌ったナンバーとあり、春めく季節に長屋の表現力豊かな歌声がひときわエモーショナルに響く。「スカパラのことが本当に本当に大好きだ~!」とまっすぐにメッセージを届けた彼女は、間奏で北原とともにトロンボーンの演奏も披露。持ち前の明るさでオーディエンスの心を照らし、さわやかにステージをあとにした。

「どれだけすごい絆があるか。私が代わりに言ってます!」

沖によるソロから始まり、美しく壮大なアンサンブルがアリーナを飲み込んだ「The Last」が届けられるとライブも佳境。スポットライトを浴びた茂木のドラムソロにGAMOがチキやフェイクで切り込んでいくエネルギッシュなセッションを経てGAMOが「SKA!」と叫ぶと、ステージには宮本浩次の姿があった。突然の登場に観客が驚いたのも束の間、宮本が「悲しみの果て」を高らかに歌い出すと客席からは大歓声が。たったワンフレーズで聴く者の心を鷲掴みにする圧倒的な求心力で、彼は瞬時に会場全体を魅了してみせた。観客もメンバーも大盛り上がりの中、「呼んでくれてありがとう!」と叫んだ宮本は「超カッコいい。素晴らしいスカパラの演奏で歌うのが毎回楽しみで。みんなの前で言うことじゃないけど」とまっすぐに伝え「私もバンドをやっていて、(スカパラは)どれだけすごい絆があるか。彼らはそれをおくびにも出さない。どれだけ彼らがカッコいいか。私が代わりに言ってます!」と、9人への惜しみない賛辞を送った。

宮本の言葉を万感の表情で受け止めた谷中は「不退転の覚悟で進んでいく心づもりを歌った歌です!」と「明日以外すべて燃やせ」をタイトルコール。スケール感と包容力に満ちたスカパラの演奏を背に、宮本はステージを端から端まで進み、魂を込めた歌声をまっすぐに丁寧に聴衆へと届けた。大きな喝采の中で宮本を送り出し、本編のラストナンバーへ。谷中は「23年前に作った曲。そんな大ヒットじゃないけど、ずっと俺たちを支えてきてくれた曲。そして『DOWN BEAT ARENA』の名前のもとになった曲! DOWN BEAT STOMP!」と叫んだ。テープキャノンとともに9人の音が勢いよく放たれると、オーディエンスは一斉にハンズアップ。23年という歳月をかけて磨き抜かれ、叩き上げられた盤石のスカビートに笑顔で身を委ね、リズミカルなステップとモンキーダンスで横浜アリーナを揺らした。

「君は世界一幸せなバンドにいるよ」

会場中から注がれるアンコールに応じステージに戻ったスカパラは「Paradise Has No Border」でライブを再開。演奏には田島(Tenor Sax)、石原(Tuba)、長屋(Tb)も参加して華やかにステージを彩り、GAMOは「声を出したら君もNO BORDER ALL STARSだ!」と観客を巻き込んで大きな一体感を形成していった。メンバー紹介では9人がそれぞれに今の思いを語り、加藤は「スペシャルなセットリストができたと思います。23年前に来てくれた人も、『これはあのときのオマージュだ』って気付いてくれた人もいると思う」と満足感を言葉ににじませる。中学生時代にバンドに憧れこの道を志したことをファンに伝えた沖は「その頃の自分に言ってあげたいですね。君は何十年か後に世界一幸せなバンドにいるよって。すべてみんなのおかげです!」と喜びを爆発させた。

「ひと足早く桜が咲いたかなと思います、横浜でね」と言って歓声を誘った川上に続き、NARGOは「35年間本当にいろんなことがあったんですけど、今年が、この1年が1番幸せだったんじゃないかな。そして今日も本当に幸せな時間でした。天国のクリーンヘッド・ギムラ、青木達之も、ものすごい喜んでると思います」と思いを伝え「スカパラは、今まで関わってきたいろんなメンバーやスタッフの意思を、ずっと大切に持ちながら進んでいます。今まで関わってきたみんなのスピリットを大切に、これからも行けるとこまで行きますので!」と誓う。「パラダイスが世界中にもっともっと広がるように進んでいくんで!」とGAMOが約束すると、谷中は「最後の曲、スカで踊ってくれ!」と観客に呼びかけた。「DOWN BEAT ARENA PARTII」のフィナーレを飾ったのは「スキャラバン」。誰も彼もが無心で音に乗る、晴れやかな高揚感に満ちた光景を前に、谷中は「23年前は肩肘張ってやってたけど、今はもうみんなハッピーだね! エネルギーそのままにハピネスが増幅しました。この景色を思い出してこれからもがんばっていくよ!」と言葉を残し、ステージをあとにした。

セットリスト

東京スカパラダイスオーケストラ 35th Anniversary Finale「DOWN BEAT ARENA PARTII」2025年3月20日 横浜アリーナ

01. SHOT IN THE DARK
02. ¡Dale Dale!~ダレ・ダレ!~
03. 5 days of TEQUILA
04. Pride Of Lions
05. Glorious
06. SKULL COLLECTOR
07. CALL FROM RIO
08. SOUL GROWL
09. 天空橋
10. 接吻 w / 田島貴男
11. めくれたオレンジ w / 田島貴男
12. 火の玉ジャイヴ
13. Great Conjunction 2020
14. ONE EYED COBRA
15. 美しく燃える森
16. 百花繚乱 w / 幾田りら
17. Free Free Free w / 幾田りら
18. 一日花
19. いつか w / 石原慎也(Saucy Dog)
20. 紋白蝶 w / 石原慎也(Saucy Dog)
21. SKA ME CRAZY
22. Mela! w / 長屋晴子(緑黄色社会)
23. 青い春のエチュード w / 長屋晴子(緑黄色社会)
24. The Last
25. SKAHOLIC GENERATION
26. 悲しみの果て w / 宮本浩次
27. 明日以外すべて燃やせ w / 宮本浩次
28. DOWN BEAT STOMP
<アンコール>
29. Paradise Has No Border w / 田島貴男(Tenor Sax)、石原慎也(Tuba)、長屋晴子(Tb)
30. スキャラバン

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