4月は、かねてより巧みなSNS戦略に定評のあるNCT WISHをはじめとしたアイドルたちがエイプリルフールに乗じてコミカルな投稿を行い、月初早々に話題を席巻。また新生活が始まる季節ということもあり、「契約」「復活」「移籍」「結成」など、K-POP界ではアーティストの去就に関するニュースも数多く見られました。このほか、Coldplay韓国公演、MOMOLANDの再始動、少女時代メンバーのハリウッドデビュー、KISS OF LIFEをヒットに導いた敏腕プロデューサーによる新人グループのデビューなど、トピックは盛りだくさん。本稿では、そんな4月のK-POPシーンから印象的な出来事をピックアップしてお届けします。
文 / 岸野恵加 イラスト / ちぎりパン
1. “夢の中のMoon”に22人
春の訪れに、どこか足どりも軽くなる4月。フレッシュな顔ぶれはもちろん、ベテランのカムバックも目を惹きました。2日にデビューを飾ったのは、JTBCのオーディション番組「PROJECT 7」から誕生した7人組ボーイズグループのCLOSE YOUR EYES。KISS OF LIFEをヒットさせたイ・ヘインがプロデュースを手がけるグループで、穏やかで叙情的なデビュー曲「All My Poetry」には「ボーイズグループのデビュー曲としては新鮮な空気感」と驚きの声が多数寄せられています。また22日にはMZMC初のガールズグループ・VVSが、28日にはWOOAHの後輩グループ・HITGSがデビューを果たしました。
NCTのマークは、7日にソロ初のフルアルバムをリリース。「The Firstfruit」と題されたこの作品は、トロント、ニューヨーク、バンクーバー、ソウルという、彼が過ごした4つの都市から受けたインスピレーションをもとに制作されました。Billlieのムンスアとシユンは、「SNAP(feat. sokodomo)」でグループから初のユニットとしてデビュー。ゲストにラッパーのsokodomoを迎え、さすがグループのメインラッパー同士ならではのハイレベルなラップを畳みかけています。
待望の完全体カムバックを迎えたグループも多数。4日にはxikersがミニアルバム「HOUSE OF TRICKY : SPUR」にて、デビュー初期から活動を休止していたジョンフンも加えて約2年ぶりとなる完全体でのカムバックを果たしました。NCT WISHへはリクが復帰し、弾けるようなポップソング「poppop」でカムバック。NCTのYouTubeではリクが憧れるマークと対談する動画が公開され、2人がぎこちなくも愛らしいトークを繰り広げています。
Apinkはデビュー14周年を記念し、新曲「Tap Clap」をリリース。ミュージックビデオは、バスローブを着た5人がホテルの1室で無邪気に遊ぶ自然体の姿が切り取られ、明るいエネルギーを放ちました。またHIGHLIGHTは28日にミニアルバム「From Real to Surreal」を発表。収録曲「Endless Ending」は改名前名義のBEASTとして先行リリースされ、ファンを喜ばせています。
2月に除隊したばかりのカイ(EXO)は、早くもミニアルバム「Wait On Me」でカムバック。封入されたトレカの裏面には、カイが描いたかわいらしいクマのイラストが躍り、集めると童話を読める仕組みに。カイの画力の高さも話題を集めました。NEXZは韓国2ndミニアルバム「O-RLY?」を発表。全員が金髪に変身するMVはインパクト抜群です。さらにOH MY GIRLは夏を先取りしたような「Oh My」でデビュー10周年を祝い、ソウルでひさびさの単独公演を開催しました。
19日には、2023年に死去したムンビン(ASTRO)に捧げる追悼曲「Moon」がリリースされ、ASTROメンバーのほか実妹であるムンスアや、生前に親交の深かったMONSTA X、SEVENTEENのメンバーら22人が参加しています。このほか4月は、ソラ(MAMAMOO)、TWS、D-LITE(BIGBANG)、AIMERS、ARTMS、82MAJOR、UNIS、YOUNITE、クォン・ウンビ、カン・ダニエル、MEOVV、FIFTY FIFTY、KATSEYEらも新曲を発表しました。
2. 高まるMOMOLAND待望論
新年度のスタート月ということもあってか、アーティストの去就に関するニュースも多く発表されました。デビュー22年目の東方神起はSMエンターテインメントと再契約して変わらぬ絆を見せ、27日には、20周年記念ツアーの最終公演を東京ドームで開催。Red VelvetのウェンディとイェリはSMエンターテインメントを離れ、それぞれ別事務所に移籍しました。一方でアイリーン&スルギは単独コンサートの開催を発表。日本では9月に公演が行われます。またRed Velvetのコンサート映画「Red Velvet Happiness Diary : My Dear, ReVe1uv In Cinemas」が、日本で4月11日に公開されました。
少女時代のサニーは、叔父でありSM創業者のイ・スマンが設立した新事務所と契約。2023年に所属事務所との契約を終えたMOMOLANDは、新事務所・INYEONエンターテインメントと専属契約を締結したことを明かし、グループ活動の再開に熱い期待が寄せられています。
新たなグループも続々と誕生。aoenは、オーディション番組「応援-HIGH~夢のスタートライン~」を経て結成された、HYBE MUSIC GROUPレーベルのYX LABELSに所属する“新世代J-POPボーイズグループ”。「&AUDITION-The Howling-」に参加していた雅久(GAKU)、ハク(HAKU)もメンバー入りを果たしました。また24人組ガールズグループ・tripleSを擁するMODHAUSはボーイズグループidnttの誕生を予告し、今回も大人数グループなのかと注目されています。
SEVENTEENのWONWOOは3日に入隊し、iKONのジナンはグループから最初の除隊者に。また6月に開催されるASTROの単独コンサート「The 4th ASTROAD[Stargraphy]」に、2023年に脱退したラキが参加されることが明かされると、大きな話題を集めました。そしてPENTAGONのジンホ、SECRET NUMBERのレアは、所属事務所との契約終了を発表しています。
3. 超豪華ゲストのColdplay韓国公演
4月に毎年話題を集める、アメリカ最大級の音楽フェス「Coachella Valley Music and Arts Festival」。今年はK-POP界からENHYPENと、BLACKPINKのリサ、ジェニーが出演しました。K-POPボーイズグループとしてはデビューから最速での「コーチェラ」参加となったENHYPENは、生バンドの演奏に乗せたパワフルなパフォーマンスで現地ファンを魅了。リサとジェニーはそれぞれソロでカリスマ性あふれるステージを見せつつ、舞台裏では応援に駆け付けたロゼも交えて、リラックスした姿を見せていました。
イギリスのロックバンド・Coldplayが韓国で行った単独公演には、ビッグなゲストが多数登場。TWICEはオープニングステージで「TT」「What is Love?」など数多くのヒット曲を披露したほか、Coldplayとのコラボ曲「WE PRAY (TWICE Version)」もパフォーマンス。またJIN(BTS)、ロゼ(BLACKPINK)もサプライズで登場し、コラボステージで観客を熱狂させました。
そのほか4月も、さまざまなコンサートが話題に。J-HOPEは「2022 MAMA AWARDS」以来2年半ぶりに日本のステージに立ち、ワールドツアーの日本公演で日本のARMY(BTSファンの呼称)と再会。続いてジンも初のファンコンサートツアーの開催を発表し、期待感を高めています。また少女時代のテヨンの来日コンサートは、機材の搬入トラブルによって急遽2日前に開催中止。テヨン自身もファン連合が発した声明書をSNSでシェアし、やりきれない思いをのぞかせていました。
人気グループの日本でのファンコンサートも数多く行われ、SEVENTEENは大阪で、TREASUREは神戸でそれぞれ公演をスタート。IVEは日本4都市でのファンコンサートを完走し、期間中はTikTokでAKB48「Everyday、カチューシャ」や、しなこ「歯ラ歯ラ」、ポムポムプリンやたまごっちの楽曲といった日本の楽曲のチャレンジ動画を続々とアップして盛り上げました。
4. エイプリルフールの新星
今月も、前項までに入り切らなかったトピックをこちらでランダムにご紹介します。アメリカの音楽授賞式「アメリカン・ミュージック・アワード」のノミネート作品が明らかになり、「Favorite K-Pop Artist」にはBTSのRMとジミン、BLACKPINKのロゼ、ATEEZ、Stray Kidsがノミネートされました。ロゼは「APT.」で「Collaboration of the Year」部門にも名を連ねており、世界的な人気を証明しました。また少女時代のスヨンは、6月に北米で公開される映画「バレリーナ:The World of John Wick」への出演が発表され、俳優としてハリウッド進出を果たします。
4月1日のエイプリルフールには、アイドルたちのかわいいおふざけが炸裂。NCT WISHはさまざまなミームを取り入れたおもしろ動画や写真を次々とSNSにアップし、「気合いの入れ方がすごい」と話題に。TEMPESTのヒョンソプは日本公式Xにて、ファンの文体を巧みに再現するような日本語のポストで沸かせました。またP1Harmonyは、よく名前が似ていると言われる人気ラッパー・pH-1とInstagramアカウントを交換してストーリーズをアップ。遊び心に満ちた投稿が相次ぎました。
4月にTikTokで爆発的ヒットを飛ばした楽曲は、なんといっても「ラブライブ!」のラジオ番組から誕生したユニット・AiScReamのデビューシングル「愛♡スクリ~ム!」でしょう。チャレンジに参加していないK-POPアイドルはいないのではないかと思うほど、多くのメンバーが元気よく「は~い!」と躍動しており、個人的にはTWICEによるクセ強めのチャレンジにアイドル10年目の貫禄を感じて唸らされました。
TWICEのサナは、親友であるi-dle(旧 (G)I-DLE)のミヨンとグアム旅行に訪れた様子がミヨンのYouTubeで公開されたほか、自身がMCを務める「サナのネンタビュー」に、SEVENTEENのHOSHIとWOOZIが出演したことも話題に。サナとHOSHI&WOOZIは同い年、そして2組とも2015年にデビューした同期ながら、これまでじっくり話す機会がなかったそうですが、新人時代の苦労話などで共鳴し合っていました。
BTSのJINを中心としたYouTubeのバラエティコンテンツ「Run Jin」の第31、32回には、TOMORROW X TOGETHERのYEONJUNとTAEHYON、ENHYPENのJUNGWONとJAY、ソン・ドンピョという豪華な面々が登場。6人は学校を舞台に、制服姿で本気でゲームに挑みました。
【2025年4月】音楽番組、最近どう?
ここでは、4月に放送された韓国の主要音楽番組で1位を獲得した楽曲をご紹介します。デビュー直後に1位にランクインし、華々しいスタートを切ったKiiiKiiiやCLOSE YOUR EYESに加え、昨年「I-LAND2」を経て結成されたiznaも、1日放送の「THE SHOW」で初のカムバック曲「SIGN」で1位に輝きました。NiziUは9日放送の「SHOW CHAMPION」で、韓国デビュー作「HEARTRIS」に次いで2度目の1位を獲得。また2024年にデビューしたNCT WISHは、2ndミニアルバム「poppop」で初のミリオンセラーを達成。グループの初動売上の最高記録を更新しました。
THE SHOW
4/1 TEN「STUNNER」
4/8 CLOSE YOUR EYES「All My Poetry」
4/15 izna「SIGN」
4/22 なし
4/29 TWS「Countdown!」
SHOW CHAMPION
4/2 JENNIE「Like JENNIE」
4/9 NiziU「LOVE LINE」
4/16 MARK「1999」
4/23 UNIS「SWICY」
4/30 TWS「Countdown!」
M COUNTDOWN
4/3 JENNIE「Like JENNIE」
4/10 J-HOPE「MONA LISA」
4/17 J-HOPE「MONA LISA」
4/24 NCT WISH「poppop」
Music Bank
4/4 TEN「STUNNER」
4/11 CLOSE YOUR EYES「All My Poetry」
4/18 MARK「1999」
4/25 NCT WISH「poppop」
Show! Music Core
4/5 KiiiKiii「I Do Me」
4/12 JENNIE「Like JENNIE」
4/19 MARK「1999」
4/26 NCT WISH「poppop」
INKIGAYO
4/6 LE SSERAFIM「HOT」
4/13 なし
4/20 LE SSERAFIM「HOT」
4/27 なし
今月のひとりごと
ライター 岸野
DAY6の来日公演が本当に本当に本当に本当に最高で、翌日グッズを買い足しに行ってしまった。
編集 獅々堀
クォン・ウンビさんが私物として紹介していた黒のコスメポーチ、かなり便利そうで欲しい。再販希望です。
