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HANA「My Body」は現代人にとっての希望 /「KITERETSU FIRE」でKEY TO LITがわかる

再生数急上昇ソング定点観測
約1か月前2025年10月24日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで10月10日から10月16日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、4位にSnow Man「BOOST」が登場した。鋭い眼光を放ちながら魅せる激しい動き、ムチのようなしなやかな身のこなし、目を奪われるアクロバティックな振付など、「これぞSnow Manの真骨頂」と言いたくなるアグレッシブなダンスナンバーだ。

14位にはKing Gnuの「SO BAD」がランクインした。今作は大阪・ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィンイベント「ハロウィーン・ホラー・ナイト」内で行われているショー「ゾンビ・デ・ダンス」のテーマソング。King Gnuならではのミクスチャーサウンドをアップデートした楽曲になっている。

23位には米津玄師「1991」が登場した。奥山由之監督による実写映画「秒速5センチメートル」の主題歌として書き下ろされたこの曲。映画の原作は、2007年に公開された新海誠監督による劇場アニメーション作品だ。今作のMVは桜の花びらや雪がひらりひらりと舞い落ちる中で米津が歌唱するという、幻想的な映像に仕上がっている。

24位にはBABYMONSTERの「WE GO UP」がランクインした。「さらなる高みを目指す」という強い意志が込められたヒップホップベースのこの曲は、重低音のビートに合わせて放たれる力強いフロウが心地いい。まるでSF映画を観ているような、圧倒的なスケールのMVにも注目だ。

人気ダンスグループの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。

HANA「My Body」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場2位

HANAの新曲「My Body」を聴いて筆者が感じたのは、自分の体は誰かに気に入られるためのものではなく、誰かに評価されるためのものでもない、ということだ。

「“どれも足りてない”なんていやいや」「君は君でいいじゃん / 誰かとなんて比べないでよね」などのフレーズが登場するように、この曲を通してHANAは「引き締まった体型を目指そう」と鼓舞するわけでも、「あなたはそのままでいいんだよ」と肯定するわけでもない。ただシンプルに「自分自身を愛してあげよう」「あなたが望む体型こそが美しいのだ」と歌っているように感じた。MVの中でさまざまな色のマネキンが登場するのも、おそらく「みんなが違う理想を持っていい」というメッセージの表れだろう。

MVのコメント欄には「ルックスについてももちろんだけど、『君が恋人だとしても私の体は君のものじゃない』って、こんな大事なことを日本で若い子に人気の女性アーティストが歌ってくれたことこれまであった?」「HANAを見て思ったのは、我々はただ、メディアに『細い体型だけが美しい』と思い込まされてたんだなってことです」といった、「My Body」を聴いて勇気をもらった人々の声が多く書き込まれている。これまで刷り込まれてきた社会観念を覆すHANAの存在は、現代人にとっての大きな希望になっているのだろう。

KEY TO LIT「KITERETSU FIRE」ライブ映像

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場10位

KEY TO LITが現在開催中の初のライブツアー「KEY TO LIT Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL」から、10月の千葉・LaLa arena TOKYO-BAY公演で披露した「KITERETSU FIRE」のライブ映像が公開された。

「KITERETSU FIRE」は、各メンバーがほかのメンバーを紹介し合いながらマイクリレーをする“他己紹介ソング”だ。作詞作曲を担当したのはメンバーの猪狩蒼弥。猪狩は以前所属していたグループ・HiHi Jets時代にも、ラップでメンバー同士が他己紹介をする「だぁ~くねすどらごん」の作詞を手がけており、メンバーの個性や性格を的確に捉えた作詞に定評がある。今作でも猪狩の観察力と表現力が発揮されているので、詳しく紹介しよう。

ダンスも歌も一級品である井上瑞稀のことは「身内でワイワイ一人じゃシャイシャイ」と愛らしい性格であることを表現。アイドルでありながら自由人の一面を持っている岩﨑大昇については、「逆張りアイドル新たなアイコン」と新しいアイドル像を秘めていることを言及している。

中村嶺亜はきれいなルックスでありながら、メンバーいわく「ドSで腹黒い」一面を持っており、それを「ビューティーなフェイスで普通に吐くFAKE」とひと言に集約。猪狩は自身に関して「深く刺すラップとリズム」と優れた音楽センスをうたいつつ、頭の回転の速さを「信じてる勝利へのアルゴリズム」と独自の言い回しに落とし込んでいる。

佐々木大光に対しては「ダンスとかドラムのレベルはトップ」とパフォーマンス能力の高さを讃えつつ、「でも日進月歩チャしては己と勝負」と無理難題に挑戦する企画「大光チャレンジ」を想起させるフレーズを反映させている。この映像を観れば、彼らがいかに個性的で魅力にあふれたグループなのかが一発で伝わるだろう。

TWICE「ME+YOU」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場18位

スティーブ・ジョブスは、2005年に行われたスタンフォード大学の卒業式でこのような名言を残している。「未来を見て、点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ。だから、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならない」。今を懸命に歩み続けていれば、いつかその点と点が結ばれて「今日のためにこれまでの出来事があったのか」と大きな感動が待っている。

その感動を体現しているのがTWICEの新曲「ME+YOU」だ。同曲は10月10日に韓国で発売されたデビュー10周年アルバム「TEN: The Story Goes On」のリードトラック。この楽曲には彼女たちのこれまでの歩みや、ファンとの強固な関係性を感じることができる。

このMVには新居に引っ越してきたメンバーが、荷解きが終わった夜に全員でテレビの前に集まり、デビュー曲「Like OOH-AHH」のMVを鑑賞するという場面がある。しかしそこで流れているのは、現在のメンバーが「Like OOH-AHH」MVのセットと同じバスの車内で踊っている映像なのだ。このシーンを観ていると、当時を思い出して懐かしくなるのと同時に、そこから10年経った彼女たちの成長も感じられて感慨深くなる。

さらに、みんなで集まってテレビを観る描写は2018年リリースの「What is Love?」を想起させ、その後に隣人が彼女たちの部屋を訪ねてドアを開けるシーンは2017年リリースの「KNOCK KNOCK」のMVを連想させる。

また引っ越しの荷物として、ミナがレゴブロック、ジヒョがトレーニング器具、サナがチーズキンパなど、それぞれのメンバーらしさを表すアイテムを持っており、1人ひとりのキャラクター性や、ファンであれば知っている“内輪ネタ”が演出に盛り込まれている。

さらに言えば部屋番号として登場する「1020」「1019」などの数字は、やや強引な考察かもしれないが、デビュー10周年、TWICEの2、ファンの呼称であるONCEの1、メンバー9人の数を表しているとも考えられる。過去のMVを知らなければ「かわいい」と思うだけかもしれない。しかし、彼女たちの歩んできた点と点をつなぐことで10年の軌跡が浮かび上がり、大きな感動を味わえるのだ。

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