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平井堅が5年半ぶり有観客ライブで示した歌の力、ファンに届けた「僕がいつも言ってほしい言葉」

平井堅(撮影:柴田恵理)
約1か月前2025年05月17日 8:06

平井堅がデビュー30周年の記念日である5月13日に神奈川・横浜アリーナでコンセプトライブ「Ken's Bar - One Night Special !! -」を開催した。

5年半ぶりでも圧倒的歌声は健在

「Ken's Bar」は平井がライフワークとして1998年から行っているコンセプトライブ。有観客で行われるのは、2019年12月の上海公演以来、約5年半ぶりであり、ファンはこの日をずっと待ち侘びていたはずだ。開演時刻を迎え、スポットライトの中に平井が現れると、オーディエンスは興奮を抑えられない様子で歓声を上げた。

平井がアカペラで歌い始めたのは「Ken's Bar」のテーマソング「even if」。そこに鈴木大の繊細なピアノが加わる中、平井は手を上下に動かしながら、透き通った歌声で横浜アリーナを包み込み、観客を夢心地に誘っていく。「『Ken's Bar』にようこそ!」と挨拶した平井は、石成正人のギターに乗せて、彼が世に出るきっかけとなったヒット曲「楽園」を熱唱。続く「告白」では、悲しげながら力強いピアノの伴奏とともに、痛切な歌声を響かせた。

石成の穏やかなギター演奏とともに、平井が歌い始めたのは映画「千と千尋の神隠し」の主題歌である「いつも何度でも」のカバー。心が洗われるような澄んだ歌声に、観客はじっと聴き入る。さらに「One Love Wonderful World」というレアなナンバーを弾むように歌い、ファルセットボイスを響かせた平井は、代表曲「瞳をとじて」「思いがかさなるその前に…」を続けて歌い上げると一旦退場。休憩時間を挟み、ライブは第2部へと続いていく。

強烈な歌とベースのぶつかり合い

会場が暗転すると、客席の一部から悲鳴のような声が上がる。いったい何が起こったのか。ステージに目を向けていたオーディエンスが周囲を見回すと、客席の中に立つ平井がいた。爆発的に湧き上がる観客の中で、平井がバンドの演奏に乗せて歌い始めたのは「POP STAR」。狂喜するファンに手を振って歩きつつ、音程を外すことなく正確にメロディを歌い上げる平井は、まさしくスターの輝きを放っていた。

興奮冷めやらぬ中、ステージに戻った平井は、そのムードをキープするのではなく、落ち着いたトーンにスイッチを切り替えて「太陽」「君の好きなとこ」を続けて歌唱。ピアノやギターの伴奏で、芯のある歌声をしっかりと観客に聴かせていく。ここでやや不穏なムードの映像が流れると、強烈な重低音を打ち鳴らすベーシストが登場。シリアスなムードが漂う中、アカペラで「哀歌(エレジー)」を歌い始めた平井に対して、ベーシストは迫力あふれる音をぶつけていく。歌とベースが殴り合うかのような壮絶なセッションで観客は釘付けとなり、演奏が終わるとスクリーンを通してベーシストの正体がハッキリと判明。ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)だ。

どよめきが起こる中、ハマと神谷洵平(Dr)のグルーヴィなプレイに乗せて、平井は「メリー・ゴー・ラウンド・ハイウェイ」を伸びやかに歌唱。ミラーボールがパーティムードを生み出し、ゴスペル調の「Love Love Love」で会場は一層幸福感に包まれた。

「いまだに誰かに褒められたくて」

ここまでトークを一切挟まずにライブを進めてきた平井は、「なんか無愛想なコンサートでごめんなさい」と語り始めると、「今日で歌手デビュー30歳ということで感謝してもし尽くせません」とファンに思いを伝える。「歌手として30歳、人間としては53歳ということで、もう大人も大人」と続けた彼は、「情けない話ですが、53になっても、いまだに誰かに褒められたくて。褒められないと不安で。よくがんばったねって頭を撫でてもらいたいところがある」と自身の弱さを晒け出しつつ、授業参観で親に褒めてもらえなかった小学生の頃のエピソードで笑いを起こす。

そんな彼に向けて客席のあちらこちらから声援が飛び交う中、「今日は自分のことばっかりじゃなくて、せっかく大切な時間を使って、今日集まってくださった皆さんに僕がいつも言ってほしい言葉を言いたいなと思って」と呼びかけた平井は、「皆さん、よくがんばってここまで生きてきた。みんな偉い。本当に」と労いの言葉をかける。そして彼は「無理に繕わず、無理に媚びず、逆に大きく見せようとせず、皆さんはそのままが一番ベストで素敵だと思いますので、そのままでいてください。本当に今日は来てくれて、いてくれて、今まで生きてくれて、本当にありがとうございました」と続けると、その思いを込めるように「LIFE is...」を丁寧に歌い上げた。

音数を極力抑え、歌の力で観客を圧倒するライブを展開してきた平井。アンコールの「ノンフィクション」もほぼアカペラで歌声を届けつつ、ストリングス隊を迎えたドラマチックな展開で感動を巻き起こした。パフォーマンスを終えた平井は、会場を走り回って観客に挨拶。最後は口元に手を当てて「今日は本当にありがとうございました!」と肉声で感謝を伝えた。

セットリスト

「Ken's Bar - One Night Special !! -」2025年5月13日 横浜アリーナ

ACT 1

01. even if
02. 楽園
03. 告白
04. いつも何度でも
05. One Love Wonderful World
06. 瞳をとじて
07. 思いがかさなるその前に…

ACT 2

08. POP STAR
09. 太陽
10. 君の好きなとこ
11. 哀歌(エレジー)
12. メリー・ゴー・ラウンド・ハイウェイ
13. Love Love Love
14. LIFE is...

アンコール

15. ノンフィクション

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