大きな話題から気になる小ネタまで、“最近のK-POP”をまとめて振り返るマンスリー連載「K-POP、最近どう?」。いよいよ年末恒例の授賞式シーズンが到来し、1年の総決算へ向けて動き出した11月。厳粛な雰囲気の中で開催された「2025 MAMA AWARDS」では、Stray Kidsによる涙のスピーチや、BABYMONSTERが披露した迫力たっぷりの「Golden」カバーなど、心を揺さぶるシーンが多々映し出されました。一方で、EVNNEの再契約やAKMUの新たな旅立ちなど、アーティストたちの未来に関わる重要なニュースも到着。本稿では、冬の訪れとともに届けられた多彩な新曲はもちろん、今月も11月のK-POPシーンから印象的な出来事をピックアップしてお届けします。
文 / 岸野恵加 イラスト / ちぎりパン
1. チャウヌの声が聴ける電話番号
今月も、まずはニューリリースの振り返りからお届けします。i-dleのミヨンは、3年半ぶりのソロ作品「MY, Lover」を11月3日に発表。8日にはTENBLANKアジアツアーのソウル公演にサプライズ出演し、佐藤健とコラボして「永遠前夜」と、「MY, Lover」のタイトル曲「Say My Name」を披露しました。またStray Kidsのバンチャンは同じく3日、グローバルアンバサダーを務めるFENDIとのコラボ楽曲「Roman Empire」をリリースしています。
FIFTY FIFTYは4日、シングル「Too Much Part 1」でカムバック。リード曲「Eeny meeny miny moe」では、「じゃんけんぽん」を意味する韓国語のフレーズ「カイバイボ」が印象的に繰り返されます。AHOFは2ndミニアルバム「The Passage」のタイトル曲「Pinocchio」が好評を博し、音楽番組で3冠に。また東方神起のユンホは、1stフルアルバム「I-KNOW」をリリース。東方神起が4月に日産スタジアム公演を行うことも発表され、ファンを喜ばせました。
TOMORROW X TOGETHERのYEONJUNは1stミニアルバム「NO LABELS: PART 01」でカムバック。作詞作曲や振付制作の多くに携わり、自分の色をさらに濃く詰め込んだ作品を完成させました。リリースに際して開設されたPinterestアカウントで投稿される写真の数々も、彼らしいセンスにあふれていました。ITZYは10日にミニアルバム「TUNNEL VISION」で、再契約後初のカムバック。重厚感あるビートのヒップホップナンバーで、メンバーの鋭い眼差しとキレのいいダンスに引き込まれます。
NCT DREAMは6thミニアルバム「Beat It Up」を17日にリリース。ボクサーのような振付が勇ましいタイトル曲のほか、ユニット曲2曲も収録され、多彩な魅力を放ちました。ALLDAY PROJECTは、12月にリリースする1st EPより「ONE MORE TIME」を17日に先行リリースし、デビュー後初のカムバック。青春ムードにあふれるMVは、新鮮でさわやかな魅力に満ちています。
Stray KidsはDJ SNAKEが7日にリリースしたニューアルバムの収録曲「In The Dark」に参加したほか、21日には新作「Do It」を発表。入隊中のチャウヌ(ASTRO)は、同じく21日に2ndソロミニアルバム「ELSE」をリリースし、公開された電話番号にかけるとウヌの声を聴くことができるという心温まるプロモーションも話題を集めました。また軍服を着たウヌが、親友であるJUNG KOOK(BTS)とリード曲「SATURDAY PREACHER」をキレよく踊るダンスチャレンジ動画も反響を呼んでいます。
24日にはILLIT、RIIZE、tripleSがカムバック。ILLITは「NOT CUTE ANYMORE」で自分たちらしく“脱・かわいい”を表現して新境地を切り開き、RIIZEは2ndシングル「Fame」で、エモーショナルなボーカルと迫力たっぷりのダンスブレイクを見せました。tripleSは6人編成の4つのユニットが連動する新プロジェクトmsnzを始動させ、アルバム「Beyond Beauty」をリリース。収録されたクリスマスソング「Christmas Alone」には、24人全員が参加しています。また27日には、f(x)のクリスタルがソロデビューアルバムからのリードシングル「Solitary」を発表しました。
このほか11月は、KiiiKiii、XLOV、J.Y. Park、RESCENE、PLAVE、CRAVITY、CLOSE YOUR EYES、HOSHI(SEVENTEEN)、Baby DONT Cryらも新作を発表。KISS OF LIFEは5日に日本デビューを果たし、リード曲「Lucky」のミュージックビデオは、ヨドバシカメラやセーラー服、力士、招き猫など、日本の文化を詰め込んだ内容で話題を集めました。TOVエンターテインメントからは全員中国人メンバーで構成された5人組ボーイズグループ・AM8ICがデビュー。YENAは初音ミクをゲストに迎えた日本オリジナル曲「STAR!(feat. Hatsune Miku)」を26日にリリースしています。
2. 「MAMA」厳粛ムードの中で開催
寒さが深まると同時に、華やかな音楽授賞式や大型音楽イベントのシーズンが到来。11月3日には東京ドームで「MUSIC EXPO LIVE 2025」が行われ、アジアの人気アーティストが集う中、韓国からは TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、CORTIS、KiiiKiiiが参加。ENHYPENはBE:FIRSTと「Bite Me」「Masterplan」をコラボで披露し、RYUHEIとNI-KIという各グループの最年少メンバー2人が並んで歩くと大歓声が起こりました。CORTISはこれが日本初ステージとなり、5日には日本で初となるショーケースも行いました。
14、15日には韓国・仁川で「2025 KOREA GRAND MUSIC AWARDS」が開催されました。Stray Kidsが5冠、IVEが4冠に輝き、グランドアーティスト賞をATEEZ、グランドパフォーマー賞をBOYNEXTDOORが受賞しました。また「第68回グラミー賞」のノミネート作品が発表され、ロゼ(BLACKPINK)とブルーノ・マーズのコラボ曲「APT.」が年間最優秀楽曲賞など3部門にノミネート。ロゼはK-POPの女性アーティストとして、初のグラミー選出となる快挙です。「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」の挿入歌である「Golden」、KATSEYEもノミネートに名を連ねており、来年2月に発表される授賞結果への期待が高まります。
28、29日には、毎年豪華な演出で世界中のK-POPファンを魅了する「MAMA AWARDS」が香港で開催されました。しかし直前の香港での大規模マンション火災発生を受け、レッドカーペットイベントは中止となり、厳かな雰囲気の中で行われることに。「ARTIST OF THE YEAR」を含む3冠を獲得したG-DRAGONは、来年BIGBANGが20周年を迎えることに触れ、「来年は1人ではなく、仲間たちと一緒にパーティをしに遊びに来ます」と話してファンを感激させ、「ALBUM OF THE YEAR」を受賞したStray Kidsは、涙ながらにスピーチ。ライブパートでは、BABYMONSTERのパリタ、アヒョン、ローラによる「Golden」のカバーステージをはじめ、多数の人気アーティストが、この日限りのスペシャルなパフォーマンスを繰り広げました。なお、その年を象徴する楽曲を讃える「SONG OF THE YEAR」は、ロゼとブルーノ・マーズの「APT.」に贈られました。
LE SSERAFIMは初の東京ドーム単独公演を11月18、19日に開催し、ABEMAでは無料生配信も実施されました。メンバー5人は終盤でもハードなダンスパフォーマンスをノンストップで繰り広げる驚異のスタミナを見せ、アンコールでは「CRAZY」を無限リピート。ドームを巨大なクラブに変貌させていました。
3. YGファミリーは永遠に
アーティストの今後の活動や、契約に関するニュースも多く飛び交った11月。EVNNEは多数のメンバーがJellyfishエンターテインメントと再契約を結んだと発表されたものの、その後12月に、ユ・スンオンとチ・ユンソは契約を終了することが明らかになりました。また専属契約に関する裁判所の判決を経て、NewJeansのHYEINとHAERINが事務所への復帰を表明したとADORが発表。MINJI、HANNI、DANIELLEも復帰を表明しているという韓国メディアの報道もあり、正式発表が待たれています。
AKMUは、12年所属したYGエンタテインメントとの契約を終了。「私たちは永遠にYGファミリー」という思いを胸に、新たな道に踏み出しました。PURPLE KISSは、11月16日に公式活動を終了。9月には日本、10月には北米各都市で公演を行い、多くのファンと思い出を残しました。またEXOのD.O.は、約2年間所属したCompany Soo Sooとの契約を終了したことを発表しています。
体調不良からワールドツアーの一部公演を欠席していたTWICEのチェヨンは、迷走神経性失神と診断されたことにより、年末まで一時的に活動を休止することに。またSM ENTERTAINMENT JAPANから初のガールズグループとして、全員日本人メンバーからなる8人組のGPPが12月にデビューすることが明らかになりました。ドキュメンタリー番組「GPP Fly ~崖っぷち紙ヒコーキのテイクオフ~」では、個性豊かなバックグラウンドを持つメンバーの素顔が少しずつ公開されています。
NCTのドヨンとジョンウは、兵役義務を履行するため12月8日に入隊することを発表。ジョンウは入隊を前にソロシングル「SUGAR」をリリースし、28日に初の単独ファンミーティングを韓国で開催しました。29日にはマークとともに、音楽番組「ショー!音楽中心」でスペシャルMCを担当しています。
4. カニエ、リアーナ、GD
最後にこちらでは、そのほかのトピックをランダムにご紹介。「第76回NHK紅白歌合戦」の出場歌手が11月14日に発表され、aespa、&TEAMの初出場と、ILLITの2年連続出場が明らかになりました。10月28日に韓国デビューを果たした&TEAMは、韓国1stミニアルバム「Back to Life」が発売初日に110万枚を超え、現地の音楽番組で3冠に輝く大躍進。「第67回日本レコード大賞」でも特別国際音楽賞に選出され、話題に事欠かない年末シーズンを迎えています。このほか「第67回日本レコード大賞」ではILLIT「Almond Chocolate」が優秀作品賞にノミネートされ、新人賞にBOYNEXTDOORが名を連ねました。
アメリカのメディア・COMPLEXが選出する「21世紀のベストドレッサー」に選出されたのはG-DRAGON。カニエ・ウエストやリアーナら豪華スターが並んだ受賞者25人の中で、唯一のアジア人として名を轟かせました。またZOZOTOWNの20周年を記念し、「HYBE MUSIC GROUP」とのコラボ企画が始動。TOMORROW X TOGETHER、&TEAM、BOYNEXTDOOR、TWS、ENHYPENの5組それぞれの“休日”をイメージしたアイテムが順次リリースされています。そしてNIGOによるブランド・HUMAN MADEと、かねてから同ブランドを愛用していたJ-HOPE(BTS)のコラボコレクション「HUMAN HOPE」も発表されました。
TWICEはデビュー10周年を経て、ツウィの故郷である台湾で初となる単独公演を11月22、23日に開催。会場の高雄市内は至る場所がコンサートのテーマカラー、そしてツウィのメンバーカラーでもあるブルーにライトアップされ、歓迎ムードに包まれました。またBOYNEXTDOORは、「トムとジェリー」誕生85周年を祝うアニバーサリーソング「SAY CHEESE!」を配信リリース。神奈川・横浜ランドマークタワー ランドマークプラザで行われたメインツリーの点灯式に登壇し、サンタ服を着たトム&ジェリーと並びました。
【2025年11月】音楽番組、最近どう?
11月に放送された韓国の主要音楽番組で、1位を獲得した楽曲をご紹介します。10月末に韓国デビューした&TEAMが、4日放送の「THE SHOW」にて、韓国の音楽番組で初めての1位を獲得。その後も、同週の「SHOW CHAMPION」「Music Bank」で続けてトロフィーを受け取りました。なお「THE SHOW」は、11月11日をもって番組の放送が終了。“ドショ”の通称で親しまれた「THE SHOW」は、11月11日をもって番組の放送が終了し、14年の歴史に幕。番組の“最後の1位”は、AHOFの「Pinocchio」となりました。
THE SHOW
11/4 &TEAM「Back to Life」
11/11 AHOF「Pinocchio」
SHOW CHAMPION
11/5 &TEAM「Back to Life」
11/12 AHOF「Pinocchio」
11/19 CLOSE YOUR EYES「X」
11/26 Stray Kids「Do It」
M COUNTDOWN
放送なし
Music Bank
11/7 &TEAM「Back to Life」
11/14 AHOF「Pinocchio」
11/21 ITZY「TUNNEL VISION」
11/28 NCT DREAM「Beat It Up」
Show! Music Core
11/1 イ・チャンウォン「Maybe Today」
11/8 なし
11/15 NMIXX「Blue Valentine」
11/22 NMIXX「Blue Valentine」
11/29 NCT DREAM「Beat It Up」
INKIGAYO
11/2 BOYNEXTDOOR「Hollywood Action」
11/9 NMIXX「Blue Valentine」
11/16 NMIXX「Blue Valentine」
11/23 LE SSERAFIM「SPAGHETTI」
11/30 ALLDAY PROJECT「ONE MORE TIME」
今月のひとりごと
ライター 岸野
KアリーナでTREASUREに踊り狂い、ららアリーナでSHINeeテミンさんに圧倒され、「MAMA」でBABYMONSTERの「Golden」に泣き、最高のパフォーマンスに心がよく動いた1カ月でした。
編集 獅々堀
「HUMAN MADE」のアニマルモチーフが大好物なので「HUMAN HOPE」にも心を惹かれましたが、当然ながら軽い気持ちで買える代物ではなく……。NIGOさん、上場おめでとうございます。


