ROTH BART BARONが全国ツアー「ROTH BART BARON Tour 2021-2022『無限のHAKU』」の最終公演を4月9日に東京・東京国際フォーラム ホールCで開催した。
昨年12月発売の最新アルバム「無限のHAKU」を携えて全国各地を回ったこのツアー。ファイナルは徳澤青弦カルテット、須賀裕之(Trombone)、ermhoi(Syn / Black Boboi、millennium parade)など、5月6日に公開される映画「マイスモールランド」の主題歌「New Morning」のレコーディングメンバーが集った13人編成でライブが行われた。アイナ・ジ・エンド(BiSH)とのユニット・A_oでの活動を皮切りに、CMなどへの楽曲提供やASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲への参加など、この1年は話題に事欠かなかったROTH BART BARONだが、この日はその快進撃の集大成となるような壮大なステージが、過去最大規模の会場である東京国際フォーラム ホールCを舞台に繰り広げられた。
浮遊感あふれるサウンドが会場を包む中、サポートメンバーたちが少しずつステージに集まって音を鳴らし始め、全員がそろったところで1曲目「EDEN」がスタート。三船雅也(Vo, G)は1番を歌い終えたところで「ヤッホー! よろしくお願いします」とうれしそうに声を上げる。ステージに設置されたキューブの上ではermhoiとホーン隊の3人が演奏。メンバーの頭上には、白いタイベック紙の幕と、白く透けるオーガンジーの幕が短冊状に吊るされ、柔らかな雰囲気の空間が作り出されていた。
2曲目の「みず / うみ」からはさらにストリングスのカルテットも演奏に参加。品のあるクラシカルな音色を加えて、13人のプレイヤーたちが重厚かつ繊細な音像を紡いでいく。祝祭感あふれる「春の嵐」や、軽快なポップチューン「ショッピングモールの怪物(Shopping Mall Monster)」を経て披露されたのは、「ポカリスエット」のCMソングとして話題になったA_o「BLUE SOULS」のロットバージョン。深遠な世界へと観客をいざなうように、スケールの大きなサウンドが広いホールに響き渡った。
マーティ・ホロベック(B)の弾くワウベースをメインにした音数の少ない演奏の上で三船がハンドマイクで歌う「あくま」など、その後も彼らはメンバーの多さを生かしてさまざまな表情の楽曲を披露。照明などの演出もステージを幻想的に彩り、「Helpa」では三船が両腕を掲げて「まあるいお月さん掴み取ってしまえ」と歌うと、天井から降りてきた紗幕に大きな丸い月が映し出され、客席からはまるで彼が月をつかんでいるかのように見えていた。
「去年の5月にちょうど『ポカリスエット』をやってて、MVをアイナちゃんと撮りに行ったんですよ。そのときは“まん防”真っ盛りで渋谷が真っ暗だったのに、1年経ってないって信じられないですよね。こうしていろんなことを忘れていくんでしょうね。だから忘れないようにアルバムも日記のように作らなきゃと思ったんだ。去年の俺たちと今の俺たちは全然違うけど、新しい気持ちでこの曲を歌えるんだと思います」という曲紹介で始まったのは、アルバム「無限のHAKU」からの先行シングルだった「U b u g o e」。静かな熱を帯びたバンドサウンドの上で、三船は切ない声で「光が消えた街 それでも僕ら 集まるのは 他に帰る場所がもうないからだ」と歌い上げた。
岡田拓郎(G)のギターノイズが巨大なエネルギーを放ちながら炸裂する「NEVER FORGET」などを挟み、三船がermhoiとともに歌う「けもののなまえ」で一旦ライブは終了。アンコールで再びステージに上がった三船は、コロナ禍によって想定していたツアースケジュールが大幅に変わってしまったことを振り返りつつ、この日に集まってくれた来場者たちに感謝の言葉を述べた。彼が「鳳と凰」で観客を立たせると、メンバーの合唱に合わせて総立ちの客席から手拍子が沸き起こる。最後に三船は「こんな世の中になるなんてわかんなかったし、明日も何が起こるかわかんないし、でも今日こうして皆さんと過ごせてよかったなと思ってます。このために2年間準備しても『あっという間に終わっちゃうんだな』と思って霞を見てるみたいだけど、生き残る限りアイデアを生み出そうと思うので、また遊びに来てください」と挨拶し、レコーディングメンバーの13人での「New Morning」をライブ初披露。夜明けのような光に包まれながら開放感に満ちた歌声を届け、オーディエンスを夢心地にさせた。
三船はこのアンコールで、5月1日から8日にかけて神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場で8DAYSイベント「ROTH BART BARON "HOWL" at KAAT ~LIVE SHOW & 360° IMMERSIVE SOUND DESIGN~」を開催することを告知。期間中は360°立体音響システムを導入して「HOWL SESSION vol.1~3」「WORK IN PROGRESS "Pre-production"」「LIVE "ALL NEW SONGS"」といったイベントが行われ、「HOWL SESSION vol.1~3」にはゲストとして後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、徳澤青弦カルテット、西田修大が出演する。
なお4月9日の東京国際フォーラム公演の映像は、ZAIKOにて5月9日まで有料配信されている。
ROTH BART BARON「ROTH BART BARON Tour 2021-2022『無限のHAKU』」2022年4月9日 東京国際フォーラム ホールC セットリスト
01. EDEN
02. みず / うみ
03. iki
04. 春の嵐
05. ショッピングモールの怪物(Shopping Mall Monster)
06. BLUE SOULS
07. あくま
08. GREAT ESCAPE
09. Eternal
10. Helpa
11. ひかりの螺旋
12. 霓と虹
13. HAKU
14. King
15. U b u g o e
16. NEVER FORGET
17. 月光
18. けもののなまえ
<アンコール>
19. 極彩|IGL(S)
20. 鳳と凰
21. New Morning
ROTH BART BARON "HOWL" at KAAT ~LIVE SHOW & 360° IMMERSIVE SOUND DESIGN~
DAY1 - HOWL SESSION vol.1 ~
2022年5月1日(日)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
1st show - ROTH BART BARON "HISTORY-I"
OPEN 13:00 / START 14:30
2nd show - ROTH BART BARON "HISTORY-II"
OPEN 17:30 / START 19:00
<出演者>
三船雅也(Vo, G)、西池達也(Pf, B)、岡田拓郎(G)、工藤明(Dr)、竹内悠馬(Tp)、大田垣正信(Tb)
ゲスト:西田修大(G)
DAY2 - HOWL SESSION vol.2
2022年5月2日(月)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
OPEN 17:30 / START 19:00
<出演者>
三船雅也(Vo, G)、西池達也(Pf, B)、工藤明(Dr)、吉田篤貴(Vln)、地行美穂(Vln)、梶谷裕子(Vla)、徳澤青弦(Cello)
ゲスト:徳澤青弦弦楽カルテット
DAY3 - WORK IN PROGRESS "Pre-production" PART 1
2022年5月3日(火・祝)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
OPEN 13:00 / START 13:30
<出演者>
三船雅也(Vo, G)、西池達也(Key)、岡田拓郎(G)、マーティ・ホロベック(B)、工藤明(Dr)、竹内悠馬(Tp)、大田垣正信(Tb)
DAY4 - WORK IN PROGRESS "Pre-production" PART 2
2022年5月4日(水・祝)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
OPEN 13:00 / START 13:30
<出演者>
三船雅也(Vo, G)、西池達也(Key)、岡田拓郎(G)、マーティ・ホロベック(B)、工藤明(Dr)、竹内悠馬(Tp)、大田垣正信(Tb)
DAY5 - ALL DAY「無限のHAKU」360° IMMERSIVE AUDIO MIX
2022年5月5日(木・祝)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
※ライブパフォーマンスなし
DAY6 - LIVE "ALL NEW SONGS"
2022年5月6日(金)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
OPEN 17:30 / START 19:00
<出演者>
三船雅也(Vo, G)、西池達也(Key)、岡田拓郎(G)、マーティ・ホロベック(B)、工藤明(Dr)、竹内悠馬(Tp)、大田垣正信(Tb)
DAY7 - HOWL SESSION vol.3
2022年5月7日(土)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
OPEN 17:30 / START 19:00
<出演者>
三船雅也(Vo, G) / and more
ゲスト:後藤正文(Vo, G)
DAY8 - LIVE "360°"~CLOSING SESSION~
2022年5月8日(日)神奈川県 KAAT 神奈川芸術劇場
OPEN 13:00 / START 14:30
<出演者>
三船雅也(Vo, G) / and more