2011年3月11日、国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の巨大地震が三陸沖を震源として発生。これに伴って発生した津波が太平洋沿岸に押し寄せて建物を飲み込み、東北を中心に東日本一帯に甚大な被害をもたらした。さらにこの津波により福島では原発事故が発生し、周辺一帯の住民が長期間にわたって避難することに。この広範囲に深刻な爪痕を残した、“東日本大震災”と名付けられた未曾有の災害は、連日連夜その状況がテレビで放映され、日本中に暗い影を落とした。
そして2020年3月、日本を含む世界各地で新型コロナウイルスの感染が拡大を続けている。日本政府からのイベント自粛要請により予定されていたライブイベントなどの中止・延期が相次ぎ、外出自粛ムードにより街から人影が少なくなり、たくさんの人々が先の見えない不安を感じている現状について、9年前の震災の状況に重ね合わせている人も少なくないようだ。
この記事では、大地震が発生した2011年3月11日から18日までの1週間のアーティストたちの活動を、被災者に音楽でエールを送った例を中心に時系列に紹介。当時混乱の中にいる人々を励まし勇気付けたメッセージの数々を、9年経った今改めて振り返る。
※公開から時間が経っているため、現在は聴くことができない曲もあります。ご了承ください。
東北地方太平洋沖地震発生
2011年3月11日 14:46
地震直後は東日本を中心にほとんどのライブハウスが営業停止を余儀なくされた。
まつきあゆむ
2011年3月12日 21:50
新曲「3月11日未明」のフリーダウンロードを開始。
自身のブログを更新し、「聞いている場合じゃない人が多いかもしれませんが動くに動けず辛い人たちの少し気分転換になれば」という言葉と共に楽曲を公開。地震発生から間もなく公開されたこの曲は話題を呼び、多くの人々を励ました。一方、この時点で楽曲で被災者を応援しようというアーティストの動きがまだほかになかったこともあり、いち早くアクションを起こした彼に対して「今必要なのは、確実な情報をシェアすることでは?」「売名にしか見えない」といった批判の声もわずかながら上がっていた。それらの声に対してまつきは、ブログで「僕や僕の音楽をどんな風に言ってもかまいませんが、それは後でもできるので今はそんな時間を使ってあなたにとって被災者に有意義だと思う事をしてください」と返答した。
HAIIRO DE ROSSI
2011年3月12日 22:00頃
被災地を思いながら制作した新曲「PRAY FOR JAPAN」をYouTubeで公開。寄付金を集めるため、この曲をCDにし、ハンドメイドのTシャツとセットにして翌13日に渋谷の東急ハンズ前で販売。
彼はこの行動について、自身のブログで「どれだけ考えても選択肢が音楽しかない自分は本当に無力だが、それさえ放棄したら何も生まれない。少なくとも俺は『今じゃない』とか『準備が必要』とかはやらない奴の言い訳もしくは本当に出来る人間が言えば良いと思う。無名、有名、金額関係なく、より自分が力になれる方法で何かするしかないと、スポーツ選手の発言や行動見て思った。いや、実際俺の行動は偽善にもならないし揚げ足なんかいくらでも取れると思うけど、これ放棄したら俺はマジで空気だと思った」と振り返っている。
佐野元春
2011年3月13日 0:14
「それを『希望』と名づけよう」と題した詩を公開。
オフィシャルサイトで公開されたのは「街が揺れた夜、君はひとり無断で、 / 市営プールに潜りこみ、身体を水に浸した」というセンテンスから始まる自由詩。「不謹慎だとわめく偽善者を後に残し / 君が光を放つことで、友を弔うんだ / それを『希望』と名づけていいんだよ / 余震は続く」という彼らしい表現で、震災を意識したと思われる力強いメッセージを伝えた。
なお佐野は3月12日と13日に東京・東京国際フォーラム ホールAで、ザ・ホーボー・キング・バンドを従えての30周年ツアーのファイナル公演「'ALL FLOWERS IN TIME' 東京」を開催する予定だった。
事務員G、toku(GARNiDELiA)
2011年3月13日 1:00
「ニコニコ募金」支援メッセージ動画公開。
「ニコニコ募金」は、このメッセージ動画に対して“ニコニ広告”で利用されたポイント額の総額が義援金として被災地に寄付されるというシステム。この動画のために制作された、事務員Gがピアノ演奏、tokuがミックスを担当したヒャダインのカバー「ぼくとわたしとニコニコ動画」がBGMとして使用された。なお「ニコニコ募金」には最終的に2億5127万2305円の募金が集まった。
ミト(クラムボン)
2011年3月13日 4:26
被災地を応援する新曲「312」公開。
この曲は後日改めてレコーディングされ、音楽配信サイトOTOTOYにてダウンロード販売。売り上げの全額が東日本大地震の義援金として寄付された。
GACKT
2011年3月13日 5:16
被災地への緊急義援金基金「SHOW YOUR HEART」設立。
この呼びかけに泉谷しげる、真矢&SUGIZO(LUNA SEA)、DAIGO(BREAKERZ)、Ni~ya(NIGHTMARE)、yasu(Janne Da Arc、Acid Black Cherry)、相川七瀬、大黒摩季、つんく♂、松岡充(SOPHIA)などのアーティストを含む著名人数十人が賛同。GACKTは当時「SHOW YOUR HEART」を代表して「とにかく僕も、僕たちも出来ることから始めようと、この基金を設立することを決めました」と説明し、さらに自身のブログで「被災地のみんなを見捨てたりは絶対にしない。とにかく、一人でも多くの仲間を助けるときです。他人事じゃない。僕らは今、一つになって進んでいかなければいけない」と訴えた。
菅野よう子
2011年3月13日 8:15
自身がピアノで弾き語ったオリジナル曲「きみでいて ぶじでいて」をYouTubeで公開。
作詞はコピーライターの一倉宏が担当。菅野はこの曲で、不安を抱える被災者に寄り添うように「心配してる、世界が君を心配してる / 君の名前を探してる / 一緒にいるよ、世界が君と一緒にいるよ / 君の命に会いに行く」と優しく歌っている。なお菅野自身も地震被害を受けた宮城・仙台出身で、2012年にはNHK東日本大震災プロジェクトのテーマソング「花は咲く」を作曲した。
toe
2011年3月13日 9:43
3日後の16日に新曲「Ordinary Days」をレコーディングして即日配信し、被災地への義援金にすることを発表。
楽曲配信に伴いtoeのメンバーは「直接、寄付していただいたほうが早いは思うのですが、寄付したらおまけにtoeの新曲ついてきたと思ってくれると嬉しいです。もしくは、その逆でも」「日本全国、全世界の人に今回の震災被害からの復興の手伝いに参加してもらうきっかけになってくれればいいなぁ。そして、一日でも早く一日でも早くみんなが普段の日々=Ordinary Daysに戻れるように」と新曲に込めた思いを語った。
西川貴教(T.M.Revolution)
2011年3月13日 13:52
被災者に向けたチャリティイベント企画の草案を公開。
このとき西川は、もともとT.M.Revolutionのリリースライブの開催を予定していた3月30日の東京・Zepp Tokyoをチャリティイベントに変更し、その模様を無料配信する案を発表。同時に課金サイトを併設してその収益とイベントのチケット収益を全額寄付し、さらにイベントと前後してチャリティオークションの実施や、募金窓口の設置も計画していると明かした。
なお西川は、3月17日には募金専用口座の開設が決定したことをTwitterで報告。20日には募金会の名称が「STAND UP! JAPAN中央共同募金会」に決定したことを公表した。
さらに彼はその後、震災被害の状況や計画停電などを考慮して、集客イベントではなく生配信番組としてチャリティを行うことを決断。4月2日(土)15:00より9時間にわたる特番「被災地にエールを送ろう! 今こそ立ち上がれ ニッポン! STAND UP! JAPAN」をニコニコ生放送およびGyaO!にて生配信した。番組にはAlice Nineの将とヒロト、the GazettEのRUKI、THE冠、坂本美雨、SuGの武瑠とChiyu、175RのSHOGO、SUPER BEAVER、SPYAIRのIKE、ダウト、土屋礼央(RAG FAIR)、つるの剛士、DaizyStripper、ニューロティカのアツシ、バニラビーンズ、ピコ、Plastic Tree、FLOW、松岡英明、メガマソ、HOME MADE 家族のMICRO、May J.、少女-ロリヰタ-23区の総史とリョヲ丞など多数のゲストが出演した。
ホフディラン
2011年3月13日 14:09
オフィシャルサイトで「スマイル」のフルサイズ音源を公開。
「スマイル」は1996年にリリースされたホフディランのメジャーデビュー曲。歌い出しの「いつでもスマイルしようね / とんでもないことがおきてもさあ」という歌詞を当時の状況と重ねて、ワタナベイビーは自身のブログに「もしかしたら不謹慎かも知れませんが、敢えて『スマイル』という曲を捧げます。宣伝ではなく、テレビやラジオで『スマイル』をかけてくれたら嬉しいです。とんでもない事が起きた時こそ敢えてスマイル!」とつづった。
中塚武
2011年3月13日 14:18
被災している仲間の顔を思い浮かべながら書いた新曲「信じてる」を無料配信。
中塚は自身のオフィシャルサイトで「直接の被災を免れた僕たちはいま、『被災した人達のために何かをやらなきゃいけない』という強迫観念に襲われ始めています。テレビでは信じられないような映像が襲い、にわかに現実とは思えない津波や原発事故。ツイッターでは情報と怒号が飛び交う。日本じゅうの人たちの心身は、たった3日で相当バテています」と述べた上で、公開した「信じてる」について「僕はこの曲を被災した人たちに聴いてもらおうと作ったのではありません。被災した人たちはそれどころじゃない。だいいち、聴ける状況にいる訳がない。一刻も早く安全な場所に避難して、食料と水と暖を確保し続けなければならない。僕が聴いて欲しいのは、被災を免れた僕たちです。実はものすごいショックを受けているけど、でも被災者を思うと疲れは出せないと憚って、何も出来ない自分に焦りと苛立ちを感じ、普通に生活することに何となく後ろめたさを覚え、ショッキングな情報に心身がバテ始めている、そんな日本全国の、被災者じゃない人たちに聴いて欲しいのです」と意図を明かした。
照井利幸
2011年3月13日 18:00頃
インストを2曲、SoundCloudにアップロード。
曲のタイトルはそれぞれ「salvation」と「salvation2」。彼は自身のブログの「再生」と題したエントリーで、「被災者のみなさん、がんばってください!」というメッセージと共にこれらの曲を公開した。
RADWIMPS
2011年3月13日 20:21
このサイトで彼らは、被災者に向けてのメッセージや義援金の募集を開始。サイトには江沼郁弥(plenty)、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、宮藤官九郎、山口隆(サンボマスター)、田中知之(FPM)、ワタナベイビー、蔦谷好位置、大木伸夫(ACIDMAN)、渡辺大知(黒猫チェルシー)、トータス松本、the telephones、安井英人&金井政人(BIGMAMA)、Superfly、小林祐介&ケンゴマツモト(THE NOVEMBERS)、SEKAI NO OWARI、中村和彦(9mm Parabellum Bullet)、内澤崇仁(androp)、NAOKI&TAKUMA(10-FEET)、TK(凛として時雨)、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)、太志(Aqua Timez)、ATSUSHI(Dragon Ash)、AI、椎名林檎、亀田誠治などが賛同コメントを寄せた。
なおRADWIMPSは翌2012年から、毎年3月11日に震災に関連した新曲をYouTubeにアップすることが恒例に(2017年は公開なし。2018年は制作が間に合わず4月にずれ込む)。
スキマスイッチ
2011年3月13日 20:30頃
「奏(かなで)」のスタジオライブ映像公開。
映像の冒頭で大橋卓弥(Vo, G)が「歌うことしかできませんが、聴いてください」と挨拶し、常田真太郎(Key, Cho)のピアノに乗せて「奏(かなで)」を歌っている。
bonobos
2011年3月13日 20:32
蔡忠浩(Vo, G)がSoundCloudでオリジナル曲「PRAY for」と坂本九のカバー「上を向いて歩こう」の弾き語り音源を公開。
このとき蔡はTwitterで「不安な気持ちはみんな同じだけど、みんな踏ん張りましょう。みんな普段通りにやれることを」「僕が音楽を提供して喜んでもらえるならいくらでもやります」ともコメントしている。
EGO
2011年3月13日 20:32
「被災者と今を生きるすべての人へ」というメッセージと共に、当時の日本の状況をラップした「PRAY(prod. CHRIS MAKO)」公開。
高木正勝
2011年3月13日 21:13
1分強のピアノ弾き語り音源を公開。
内田裕也
2011年3月13日 22:17
3月19日に渋谷駅ハチ公前にて募金ライブを行うことを告知。
当日はジョー山中ら賛同者と共に練り歩きながら街頭募金を呼びかけ、拡声器でジョン・レノン「Power to the People」を熱唱。渋谷駅前に歌の輪が広がって大合唱になった。
5lack、TAMU、PUNPEE、仙人掌
2011年3月13日 23:05
新曲「But This is Way」を公開。
PSGの5lackとPUNPEE、DOWN NORTH CAMPのTAMUと仙人掌が地震発生後のそれぞれの思いをリリックにした楽曲。アーティストが被災者に向けて曲を作ることや著名人がチャリティ活動をすることに対して、一部の人々から「売名」「偽善」と批判されていた当時の状況を受けて、PUNPEEは「これは売名行為だ / 少し有名だからできるような売名行為だ / 俺らを好きなちょっと不安な人たちが / 少し元気になるような売名行為だ」とラップした。
杉本善徳
2011年3月13日 23:25
ピアノインスト「ミンナで頑張ろう!」をYouTubeで公開。
ゴールデンボンバー
2011年3月14日 1:26
リスナーを元気付ける応援歌「らふぃおら」のデモ音源と、同曲のボカロバージョンをニコニコ動画で公開。
鬼龍院翔(Vo-karu)はこの音源を公開した理由について、自身のブログで「僕の事など全く知らない人を元気づける事は僕には難しいみたい、でも僕の声を求めて来てくれたファンの人なら、元気にできるかもしれません。聴いてくれたら嬉しいです。偽善でも自己満でも売名でもなんでもいいからやれる事からやるべきと思ったんです。恥ずかしくて電車でお年寄りに席を譲らないような状態になっててはいけない」と説明した。なお、この曲の作詞をしたのは震災前であり、地震について歌っているわけではないとのこと。
YOSHIKI(X JAPAN)
2011年3月14日 5:00
愛用のクリスタルピアノをオークションに出品し、収益金を震災の被災地支援団体などに全額寄付することを発表。
このクリスタルピアノは2009年5月の東京ドーム公演で実際に使用されたもの。後日、Yahoo!オークション(現:ヤフオク!)で開催された「東日本大震災チャリティーオークション」に出品され、約1100万円で落札された。
空中ループ
2011年3月14日 6:55
松井省悟(Vo, G)が「praying」を公開。
「praying」は同年10月に発売された空中ループの1stフルアルバム「空中ループ」に収録された。
suzumoku
2011年3月14日 0:00頃
新曲「僕らは人間だ」を公開。
この曲は「被災者のためにチャリティソングの作曲をお願いしたい」というファンからの声に応えて制作されたもの。自身も仙台で被災したsuzumokuは、移動先のリハーサルスタジオでこの曲を録音。後日、YouTubeの反響の大きさに注目したAmazon.co.jpからの提案により有料配信されることになり、売り上げの全額が震災の義援金として寄付された。
志人(降神)
2011年3月14日 16:44
複数の未発表音源および映像を近日中に無償公開していくことを告知。
作品を無償公開する意図について、志人は自身のブログで「チャリティーソングとしてどこかの団体を通して寄付する事も考えましたが、信頼出来る団体を選んだりする事よりも、実際クリエイトしているクリエーター同士で納得の上、完全に無償な形で 悲しみの淵に立たされている人々の心へ 音や言葉、絵画、をささやかながらプレゼントしたい」と説明した。
曽我部恵一
2011年3月14日 17:15
新曲「春の嵐」を無料配信。
「春の嵐」は同年4月発売のアルバム「PINK」の1曲目。曽我部は自身のブログで、制作時と世の中の状況がまったく変わってしまったため「PINK」を予定通りリリースすべきかを考えたと明かし、「しかしアルバムを聴き終わったぼくは、これらの歌がみんなに届いてほしいと、やっぱり、思ったのでした。ぼくにできることは、否、ぼくにしかできないことは、被災された方々を言葉や行動で勇気づけることではなく、お金を寄付することでもなく、情報を提供することでもなく、ただただ、『ぼくのこの音楽を届けること』だけだと考えます」と私感を述べた。
EL NINO(Olive Oil+MC FREEZ)
2011年3月14日 17:26
地震発生の2日前に録ったという、「Love and peace to people on all the earth from Fukuoka(福岡からすべての地球上の人々に愛と平和を)」と題した新曲を公開。
不可思議/wonderboy
2011年3月14日 20:05
新曲「生きる」を公開。
詩人・谷川俊太郎の作品「生きる」を、谷川本人から音源化の許諾を得てポエトリーラップにアレンジした楽曲。同年5月発売の1stフルアルバム「ラブリー・ラビリンス」の特典CD-Rに収録するために録音されていたが、彼は「今の状況に居てもたってもいられず、YouTubeに上げさせていただきました」と説明している。なお、この曲は3月14日より自主製作CDシングルとして50枚限定で販売もされ、売上は全額が義援金として寄付された。
People In The Box
2011年3月14日 20:18
波多野裕文(Vo, G)がバンドのオフィシャルブログに弾き語り音源のYouTubeリンクを張る。
STUTS
2011年3月14日 22:24
インスト曲「Keep Ya Head Up(Stay Positive)」公開。
Candle June、若旦那、MINMI
2011年3月14日 23:01
東日本大震災の被災地支援プロジェクト「LOVE FOR NIPPON」を発足。
前年にハイチ地震のチャリティプロジェクト「LOVE FOR HAITI」を成功させたCandle June、若旦那、MINMIが、そこで学んだことを発揮して立ち上げたプロジェクト。キヨサク(MONGOL800)、細美武士(the HIATUS、ELLEGARDEN)、佐藤タイジ(シアターブルック)、Chage、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、THE ZOOT16)、INORAN(LUNA SEA)、BONNIE PINK、GOMA、田中知之(FPM)、山森大輔(ROCK'A'TRENCH)、Leyona、ムッシュかまやつなども賛同した。4月8日には東京・LIQUIDROOMで救援物資をチケット代わりにしたアコースティックライブイベントが開催され、同年開催の「GREENROOM FESTIVAL」では2日間のトリとして「LOVE FOR NIPPON SESSION」と題したセッションが行われた。
狐火
2011年3月14日 23:45
震災後に制作した楽曲「被災地のあなたへ」公開。
さらに狐火は16日に「何度でも」、17日に「SOS」という楽曲を立て続けにアップロード。「PRAY FOR JAPAN」と銘打ったこれらのシリーズを、5月27日までに計13曲公開した。
おとぎ話
2011年3月15日 0:11
新曲「THANK YOU」をSoundCloudで公開。
この曲はCDシングル「THANK YOU / This is just a Healing Song」に収録され、同年8月にタワーレコード一部店舗とROSE RECORDSのオンラインショップで販売された。
トクマルシューゴ
2011年3月15日 0:34
インスト曲「Open a Bottle」をチャリティ配信。
このインストは同年1月に上演された舞台「ちんけさんと大きな女たち」に使用された音源。舞台の企画者で出演もした近藤芳正が快諾したことでリリースが決まった。
泉谷しげる
2011年3月15日 9:04
Ustreamを使った24時間チャリティ番組「お前ら募金しろ!」の生配信を3月19日に行うことを発表。
泉谷は番組配信の告知に際して「トーク&ライブが全部中止になってさ~お前ウチに居ろってか! だったら居ながらヤッてやれ! 停電しながらかも! 一緒に募金の行方考えてくれ! 日に詳しく報せる。石原ぁ~許せんぞぉ思考停止ジジィめ!」とコメント。番組には中村中、嘉門達夫、坂崎幸之助(THE ALFEE)などが駆けつけた。
SHAKALABBITS
2011年3月15日 15:03
自主レーベル・MUSHROOMCAT RECORDS名義で義援金の協力を呼びかけ。オフィシャルグッズ「ジャガードフェイスタオル」の通信販売を行い、その売り上げの一部を寄付することも発表。
七尾旅人
2011年3月15日 15:27
新曲「帰り道」公開。
七尾は翌16日には、震災の影響で配信を休止していたDOMMUNEの臨時再開番組に出演し、節電により薄暗いスタジオで「帰り道」や「リトルメロディ」を歌唱した。
また17日には、七尾とTUNKが共同開発したデジタルコンテンツの配信システム「DIY STARS」を生かした義援金募集プロジェクト「DIY HEARTS」が始動。以降はこの「DIY HEARTS」を利用して、後述するU-zhaanや、マジカルパワーマコ、渡邊琢磨(COMBOPIANO)、DE DE MOUSE、小室みつ子、大友良英、灰野敬二+mito+doravideo、篠原ともえ、Dorian、mouse on the keys×灰汁、FISHMANS+、RUMI、ZAZEN BOYSなどさまざまなアーティストが音源や映像などをリリースした。
サンタラ
2011年3月15日 16:39
「フラッグ」の演奏を期間限定音声ブログで公開。
田村キョウコ(Vo, Harp)は自身のブログで「ミュージシャンのできることはまだまだ後の段階だと思っています。でも今、何もしないというのはできなかった」「西日本ができることは、日本の経済活動を支えること、東日本のぶんまで働いて製造を頑張ることかもしれない。縮こまっている場合ではありません。復興は被災直後から始まっているんだ!」とコメント。
amazarashi
2011年3月15日 16:50
「祈り」と題した詩とイラストを公開。
彼は1年後の2012年3月11日に、この詩に曲をつけて公開した。
orange pekoe
2011年3月15日 16:58
ハンディレコーダーで録音した新曲「ともしび」公開。
藤本一馬(G)は自身のブログで、この音源について「必ず乗り越えられると信じて、平和な日々が戻ってくることを祈るなかで、僕にできることはやはり曲を作ること、そして演奏することと思いました」とコメント。さらに「音はあまりよくないかもしれないのですが、被災地のことを考え、極力、電力を使用したくなかったので、この方法を採用いたしました」と説明した。
SMRYTRPS
2011年3月15日 18:07
新曲「虹が見えたんだ」チャリティ配信。
この曲は地震の発生前にできていたが「雨が降ることもあるけれど、僕たちは顔を上げて虹を探そう」という内容だったことからチャリティソングとして採用したとのこと。同年9月発売のアルバム「Orange Voyagers」に収録された。
ANARCHY
2011年3月15日 18:22
被災者への思いを込めた新曲「G.O.D. 2011」を配信リリース。
この曲と「G.O.D. (Original Version)」をセットで販売し、発生した利益の全額を義援金として寄付した。
浜崎あゆみ
2011年3月15日 18:27
被災者を応援するために、女性向けファッション雑誌「ViVi」とコラボレートしたチャリティTシャツを販売。
Tシャツはmu-moショップにて3月31日まで販売され、収益はすべて義援金として被災者に寄付された。
中村佑介(セイルズ、イラストレーター)
2011年3月15日 18:59
イラストポストカードセットを22日より通信販売すると発表。売り上げの全額を被災者に寄付。
中村は自身のブログで「今現在、被災地にいない僕らが出来ることは、何もこのイラストなんかではなく、音楽でも言葉でもなく、復興の為のお金がすべてだと思います。阪神大震災を経験した僕がそう思ったのですから、今回の被害はその何倍も、つまり何倍もの費用が必要ということです」と訴えた。
百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)、オワリカラ、宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))、andymoriほか
2011年3月15日 22:30
音楽雑誌「MUSICA」の呼びかけによる、アーティストたちから被災者への応援メッセージなどを紹介するサイト「HOPE FOR TOMORROW」開設。
このページではさまざまなアーティストによるコメント動画や直筆メッセージのほか、百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)がアコギで演奏した「GREEN & GOLD」、オワリカラによるアコースティックセットでの「砂場」、ワタルS(SISTER JET)による「SAY YES」の弾き語り、仲手川裕介(SPANK PAGE)による「一人じゃないから」の弾き語り、PILLS EMPIREによるブリンズリー・シュウォーツのカバー「Peace, Love And Understanding」などの動画も紹介。また宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))の「いつかまた逢えるその日まで」や、andymoriの「兄弟」といった震災後に書かれたばかりの新曲も公開された。
なおandymoriの「兄弟」は4月7日に配信リリースされ、収益はすべて義援金として寄付された。
LITE
2011年3月16日 9:29
配信シングル「Rabbit」の売上を全額寄付すると発表。
「Rabbit」はもともとこの日に発売が予定されていた曲。なおLITEはこの日から「SXSW 2011」を含むアメリカツアーを行った。
バンバンバザール
2011年3月16日 10:50
翌17日と18日に2夜連続で、電力を極力使用しないアンプラグドセットのチャリティライブを東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催することを発表。
バンバンバザールが主催し、SCOOBIE DO、TGMX(FRONTIER BACKYARD)、チャラン・ポ・ランタン、中村まり、T字路s、Leyonaなど出演。
中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン) with 伊丹英子
2011年3月16日 12:01
「満月の夕」のセルフカバー音源を公開。
「満月の夕」は1995年に中川とHEATWAVEの山口洋が共作した楽曲。阪神・淡路大震災発生直後に神戸と大阪を往復する道中で、その過酷な状況や被災地の人々の姿を見ながら制作された。中川は東日本大震災の発生寸前まで初のソロアルバム「街道筋の着地しないブルース」を制作しており、このとき公開された音源はそのアルバムのためにレコーディングされたもの。
KenKen(RIZE)
2011年3月16日 12:26
制作中のソロ曲「The 22nd century」の音源を公開。
公開に併せてKenKenは「こういう事態は落ち着いていけばいく程心の傷やダメージや寂しさが押し寄せると思う。その時人にパワーを与えるのが音楽だと思う。出番はその時。それまで気高く生きよう」というコメントを発表。なお「The 22nd Century」は2014年にベース教則アプリの課題曲としてリリースされた。
toto(SUIKA)
2011年3月16日 12:49
新曲「Windy」のミュージックビデオを公開。
「Windy」は同年6月に発売された初のソロアルバム「○ to ○」のために震災発生前に録音されていた楽曲。MVをこの日に公開したことについて、彼女は「少しでも早く映像を届けて、子供たちがファンタジーの世界で心を少しでも遊ばせてほしい、できることなら大人たちもちょっとこの世界で遊んでほしい」とコメントした。
TURTLE ISLAND
2011年3月16日 15:39
楽曲「深海の水のように」を無料配信。
「深海の水のように」は2002年にリリースされた1stシングルの表題曲。力強い和太鼓のリズムと爆音ギターの上で「生き続けろ今を!」という熱いメッセージを叫んでいる。
クハラカズユキ(The Birthday)
2011年3月16日 15:58
クハラカズユキが発起人となり、3月20日に新宿red clothにて援助物資募集ライブイベント「緊急ナイト」を開催すると告知。
出演者は遠藤ミチロウ、大木温之(Theピーズ)、延原達治(THE PRIVATES)、フラワーカンパニーズ、うつみようこ。クハラは“一日店長”としてライブ出演ではなくカウンターを担当し、大木は“一人ピーズ”名義で、フラカンはアコースティック編成でライブを行った。なお「緊急ナイト」はこれを皮切りに何度も開催され、2016年の熊本地震や2018年の西日本豪雨の際にも被災地に義援金を送った。
QUATTRO
2011年3月16日 16:19
チャリティシングル「zzz」をiTunes Storeにて配信。
配信は5月末までの期間限定で、売り上げの全額を被災者の義援金として寄付。メンバーは配信に際して「小さいかもしれないけど僕らに今出来る事です。大勢の人達の気持ちと共にこの曲が被災地に届いて元気を与えてくれる事を願っています」とコメントした。
GLAY
2011年3月16日 18:05
TERU(Vo)がICレコーダーで録音した新曲のアコギ弾き語りを公開。
後日、この曲をバンドアレンジでレコーディングし、「Thank you for your love」というタイトルで5月5日に配信リリース。収益はすべて義援金として寄付された。
あらかじめ決められた恋人たちへ
2011年3月16日 19:12
3月20日に東京・新代田FEVERで投げ銭方式のチャリティワンマンライブを開催すると発表。
ライブ開催を決意した理由について、池永正二(Track、鍵盤ハーモニカ)は「誰かが何かしてくれるのではなく、僕ら自身でなんとかせなダメだと思います。こんな時にこそ音楽だと信じています」「下ばっかし見ていたら下しか見えません。乗り越えなくては乗り越えられません。だからライブやります」と説明。企画当初はアコースティックライブにする予定だったが、「義援金のために演奏するための電力なら使用しても良いと思います。自粛しすぎて鬱屈するよりバァッと演奏する人も観る人もグウァあああとなってそのお金を寄付する事が不謹慎だとは思いません。もっと他で節電します」ということで、あえて爆音でのライブを行った。
Limited Express (has gone?)
2011年3月16日 19:40
当時OTOTOYの編集長で現・同社取締役である飯田仁一郎(G)の発案による復興支援コンピシリーズ「Play for Japan」配信開始。
- 東日本大地震チャリティ・コンピレーション・アルバム『Play for Japan』 - OTOTOY
- 東日本大地震救済支援コンピレーション・アルバム『Play for Japan vol.7~vol.10』 - OTOTOY
3月16日の段階で6タイトルを同時リリースし、計112組のアーティストが楽曲を提供。続けて4月2日にvol.7からvol.10までの4タイトルも配信され、さらに74組の新音源が追加された。
中村一義
2011年3月16日 19:42
チャリティバッジ「The Test For Lives」の販売受付を開始。売り上げの全額を被災者に寄付。
中村はこの企画の意図を自身のサイトで「今、彼等にとって真っ先に必要なのは衣食住の基盤です。音楽などの文化的表現の必要は二の次なのかもしれません。音楽で世界が変わるかは僕が知る由もありません。ただ、自分が心から大切にしている音楽はかけがえのない家族として、衣食住を繋ぎます。もう一度、彼等の耳から心へ、音楽が鳴り響くところへ…その支えに少しでもなりたい。それは僕にとって、チャリティーである以前に、生き物として産み落とされた自分自身の試練です」とコメント。
向井秀徳
2011年3月16日 20:52
アコギ弾き語りで童謡「ふるさと」を歌う動画公開。
この映像は、公開当日に自身のプライベートスタジオ・MATSURI STUDIOにて撮影されたもの。
般若
2011年3月16日 22:22
彼はここで東北にいる、これまでライブに来てくれた人やオーガナイザー、仲間たちなどに向けてアカペラでラップを披露。「何から語ればいい / まだ揺れてる 馬鹿でかい / 二転三転交錯する情報 / それより早く現地に食料 / まず行き渡るべき被災地 / 2011年 こんな時代に / 現実として起こった / どでかい穴に落っこった / 黙れ石原 何が天罰 / それよりちゃんと言えよ原発 / 見たくないこれ以上 震災 / 力を合わせるべきだここで1回 / いろんな人が見舞われてる不幸 / でも世界大戦後ここまで復興 / やれねえことはねえと信じ / 正面から受け止める真実」というメッセージを贈った。
なお般若はその後4月6日に、「考えた結果、曲を作りました」「賛否両論あると思いますが、一度聴いて欲しいです」というメッセージと共に新曲「何も出来ねえけど」をYouTubeで公開。地震による不安や原発の問題に真摯に向き合ったリリックは大きな反響を集めた。
川嶋あい
2011年3月16日 22:30
6年ぶりに路上ライブを行い、各地で義援金を募る。
彼女は自身のブログで「私は路上でたくさんの方々に支えられて歌手になることができました。この国難に際し、再び路上に立とうかと考えていました」と語り、まだ混乱や不安が続く関東ではなく西に向かうと告知。広島や福岡、山口、神戸、大阪でストリートライブを敢行した。
また川嶋は路上ライブに先駆けて3月15日に既発曲「カケラ」をアコースティックアレンジで再録しており、この曲は同時にレコーディングされた未発表曲と合わせてExcite Musicの特設ページでチャリティ配信された。
渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、THE ZOOT16)
2011年3月17日 12:12
2日後の3月19日に神奈川・ORDINAIRE CAFEでチャリティライブを開催すると告知。
このライブはセレクトショップ・Rudieとの共同で企画された。
ALTZ
2011年3月17日 13:40
「東日本大地震において、皆様と皆様の関係各者が無事である事を心よりお祈り申し上げます」というコメントと共に、未発表のDJミックスをアップ。
中田裕二
2011年3月17日 18:17
地震発生後に制作した新曲「ひかりのまち」をワーナーミュージック公式YouTubeチャンネルで公開。
この音源にはカホンで小寺良太、ギターで手島大輔という椿屋四重奏時代の盟友が参加。椿屋四重奏の結成地である仙台を思いながら、一発録りでレコーディングが行われた。
なお中田は3月15日から、ずっと避けていたというTwitterを情報発信のために開始。仙台の現状や、仙台に今何が必要かなどをフォロワーに伝え、同年5月にTwitterからブログへと移行した。
かりゆし58
2011年3月17日 18:31
マイクもアンプも使用せず無電源で演奏した「ただひとつだけ伝えたいこと」のスタジオライブ映像をYouTubeとニコニコ動画にアップ。
動画の冒頭で前川真悟(Vo, B)は、犠牲者へのお悔やみの言葉を述べてから、被災者たちに向けて「ただ1つだけ。自分で自分のことを不幸せだとか思ってしまうのが何よりも悲しいことだと思いますので、できればまだ自分に残ったものとか、自分がちゃんと感じられる喜び、幸せ、それを疑わないでほしいなと心から思っております」とメッセージを贈った。
Shing02
2011年3月17日 20:35
同年4月にリリースされるDJ Whitesmithのアルバム「WE ALL VICTIMS」に収録される「誉 feat. Shing02」を、発売に先駆けてShing02のオフィシャルサイトにて無料配信。
Shing02はこの曲の無料公開に寄せて「このような事態になって募金活動の要請も沢山ありましたが、今の自分に出来ることは言葉にかけるだけです。もちろん自分も募金をしました、皆さんも出来る限り助け合いの精神を発揮していきましょう」とコメント。
MiChi
2011年3月17日 21:35
未発表曲「ONE」の動画を公開。
この動画は東日本大震災に対して彼女が自分なりのアクションを起こそうと制作したもの。動画は彼女が自ら撮影した風景写真をスライドショーのようにつなぎ合わせて制作された。なお「ONE」は同年6月にシングルとしてリリースされている。
椎名慶治(SURFACE)
2011年3月17日 21:43
新曲「声」のデモ音源を無料配信。
椎名は自身のブログで「ミュージシャンとして出来る事、それは音楽を届ける事なんじゃないだろうかとずっと考えていた。売名行為と言われようが、偽善者と呼ばれようが、それでもどうしても届けたい事と判断した結果、パソコンでも携帯電話でも誰もがほんの少しの電気で、そして無料で聞ける環境をと今回youtubeに『声』という新曲のデモをアップしました」と、デモ音源公開に至る心境を明かした。
Superfly
2011年3月17日 22:10
「Sunshine Sunshine」のアカペラ音源を公開。
「Sunshine Sunshine」は3月20日に沖縄・ナムラホールで開催されて、全国民放FM52局が同時生放送する予定だったワンマンライブ「MEET THE MUSIC LIVE with Superfly」のキャンペーンソング。同ライブの開催が見送られたことを受け、この音源が公開された。越智志帆はアカペラの公開に際して、オフィシャルサイトの日記で「地震が起きてから、シンガーとして何ができるのか、何をすべきなのか、毎日考えながら過ごしてきました。今日は私ができることの第一歩として、みなさまに歌を届けさせていただくことにしました」とコメントしている。
なお3月22日には、震災後に書き下ろした新曲「You & Me」も公開。1日でも早く発表するためにピアノの弾き語りを簡単に録音したというこの曲は、3月25日に配信リリースされ、売上の全額が震災の義援金として寄付された。
日向秀和(ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone)
2011年3月17日 22:29
日向秀和を中心に有志で集まったバンドマンによるプロジェクト・HINATABOCCO始動。
この日向のツイートにチャットモンチーの福岡晃子、ストレイテナーのナカヤマシンペイ、the chef cooks meのシモリョー、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文、ヌンチャクの溝口和紀、SHAKALABBITSのTAKE-C、ART-SCHOOLの戸高賢史などさまざまなアーティストが賛同したことをきっかけに、プロジェクトの始動が決定。3月21日に行われたミーティングで「このプロジェクトは長く続けることに意味がある」という結論になり、1年後の2012年3月11日に照準を合わせて継続的に活動が行われることになった。
翌22日には東京・代々木公園、およびフォトグラファー橋本塁の写真展の会場でシークレットライブが行われ、3月30日には東京・新宿LOFTでのアコースティックチャリティライブを開催。その後も長く活動を展開し、HINATABOCCOとして2011年の「New Acoustic Camp」や2013年の「ARABAKI ROCK FEST」といった大規模なイベントにも出演した。
凛として時雨
2011年3月17日 23:03
アコースティックギターによるインスト曲を公開。
この曲についてTK(Vo, G)は特設ページで「弾いているのは僕だけどこれは凛として時雨3人からの音、願いです。きっと届くの難しいし、何も変えられないのかもしれないけど自分の手に願いを込めさせて下さい」と曲に込めた気持ちを明かした。
U-zhaan
2011年3月17日 23:14
インドのサロード奏者Sougata Roy Chowdhury(a.k.a. Babui)とのコラボ作品「へまんと」をリリース。
この音源は、当時インドのカルカッタに滞在していたU-zhaanが、震災翌日の3月12日に友人であるBabuiと共に日本を思いながら演奏したもの。ミックスはrei harakamiが担当した。なお、今作は七尾旅人が企画・立案で携わった震災義援金募集サイト「DIY HEARTS」の第1弾作品として販売。価格は投げ銭方式で、売り上げは震災の義援金として寄付された。
ASIAN KUNG-FU GENERATION
2011年3月17日 23:14
後藤正文(Vo, G)が被災地復興を願った新曲「砂の上」を録音したことを報告。歌詞をブログで公開。
「砂の上」はその後、3月21日にJFN系「SCHOOL OF LOCK!」にてオンエアされ、アジカンのオフィシャルサイト内に特設された被災者支援を呼びかけるページ「NANO-MUGEN FES. & only in dreams」で翌22日に音源が公開された。
後藤はこのページで「僕たちはいつだって『砂の上』のような、とても不確かな場所に居るのだと思います。それでも、今、鳴らさなければと思います。僕自身、今歌わなかったら、ミュージシャンである意味がなくなってしまう」と心境を語っている。
AA=
2011年3月18日 0:35
チャリティTシャツ発売。
このTシャツはAA=のCDアートワークなどを手がけるPOSITRONがデザインを担当し、BALZAC / EVILEGEND13が制作。「WE'RE NOT ALONE」というメッセージが書き込まれた、強く握った拳のイラストがデザインされており、この収益金は義援金として全額寄付された。
なお7月1日には上田剛士(AA=)を中心とした震災復興支援プロジェクト・AA= AiDが始動。難波章浩(Hi-STANDARD)、ハヤシ(POLYSICS)、HIROSUKE(BALZAC)、K(Pay money To my Pain)、Kj(Dragon Ash)、Masato(coldrain)、SUGA(dustbox)がゲストボーカルとして参加した楽曲「We're not alone」が無料配信された。
猪苗代湖ズ<松田晋二(THE BACK HORN)、山口隆(サンボマスター)、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、THE ZOOT16)、箭内道彦>
2011年3月18日 9:02
「アイラブユーベイビー 福島」をレコーディングしてリリースし、売り上げ全額を被災地に寄付することを発表。
「アイラブユーベイビー 福島」は2010年秋の「風とロック芋煮会」で初披露された楽曲。東京での節電のため名古屋でレコーディングを行い、「I love you & I need you ふくしま」と改題して2日後の3月20日に配信リリースされた。
KREVA
2011年3月18日 12:00頃
「EGAO」のライブ映像をオフィシャルサイトで公開。
2010年10月に東京・日本武道館で開催された「KREVA CONCERT 2010『意味深3』」で初披露された「EGAO」。この曲はKREVAがナビゲーターを務めたJ-WAVEの番組「RADIPEDIA」で初オンエアされ、3月30日には被災者支援のチャリティシングルとして配信リリースされた。配信に際してKREVAは「これを読んでいる人は大きな被害に遭った人たちよりも、通常どおり音楽が聴ける環境にある人が多いと思うから。その人たちに向けて。日本全体が以前のような日常を取り戻すまで、本当に長期戦だと思うから。それぞれが落ちついて、できることをしっかりやりましょう」とコメントした。
Sick Team
2011年3月18日 13:06
配信シングル「逆境」をiTunesでリリース。
「逆境」は震災について5lack、Budamunk、ISSUGIが意見交換して作ったチャリティソング。収益はすべて被災地支援の義援金として寄付された。
ECD
2011年3月18日 14:30頃
新曲「EXODUS11」をYouTubeで公開。
震災後に妻の実家の東広島に妻子を避難させ、仕事のため自分だけ東京に帰ってきたというECD。この曲で彼は不安に満ちた震災後の日本を生き抜いて、絶対に3人目の子供を作るぞと力強く決意している。
キングギドラ(KGDR)
2011年3月18日 13:59
Zeebra、Kダブシャイン、DJ OASISが話し合い、義援金チャリティコンサートを行うことを決めたと発表。
その後3人は、同年4月30日に大阪城音楽堂で開催された東日本大震災チャリティイベント「KEEP YA HEADS UP」で約9年ぶりに再集結し、サプライズライブを敢行。6月にKGDR名義で新曲「アポカリプス ナウ」を配信リリースし、7月に東京・赤坂BLITZで被災地復興支援を目的としたワンマンライブを行った。
空気公団
2011年3月18日 16:07
YouTubeとFacebookでライブ映像公開。
公開されたのは、空気公団とアートディレクターの山下浩平とが共演したライブ「えとおと」から「優しさ」の映像。さらに翌19日にはMyspaceで、「少し笑った横顔に」「おかえりただいま」「たぬきにもみえる」「トントンドア」「あかさたな」のオリジナル曲5曲と、コンピレーションアルバム「家族時間 ~NHKみんなのうたカバー集~」に収録された「北風小僧の寒太郎」のカバーという、小さな子供向けの音源をフルサイズで公開した。
FUNKY MONKEY BABYS
2011年3月18日 18:49
東京・八王子市と協力して被災者のための義援金口座を開設。
メンバー3人は福島県柳津町の柳津中学校で卒業式ライブを行った後、帰京する途中の新幹線の車内で地震に遭遇。約11時間にわたって車内に閉じ込められたのち救出され、傷跡の生々しい道路を走って東京へ戻った。この経験もあって今回の震災に強い衝撃を受けた3人は、出身地で観光大使を務めるなど縁の深い八王子市と協議して義援金口座を開設。さらにオフィシャルグッズのブランケット700枚とマフラータオル1100枚という支援物資の提供を申し出た。
なおファンモンは同年9月に、ケツメイシと共に宮城・国営みちのく杜の湖畔公園でチャリティライブを開催。義援金口座に募金された約2372万円と合わせて、このイベント経費を除くすべての興行収益金を寄付した。
EGO-WRAPPIN'
2011年3月18日 19:30頃
「サイコアナルシス」と「a love song」のスタジオライブ映像公開。
動画の公開に併せてオフィシャルサイトでは中納良恵(Vo)と森雅樹(G)のそれぞれのコメントをアップ。中納は「日々、新聞やニュースですざましい光景が繰り広げられていますが恐れていては、何も見つかりません。自分に何ができるのかを考え、希望の光を見つめ、日本全国が再び元気になることを祈り、前へ進んで行こうと思います。協力しあい、思いやりあい、みんなで力を合わせて、復興に力を、生きたく思います。現地で不安になられているみなさま、どうかがんばってこの苦しみと悲しみを乗り越えていきましょう。恐れず前を向いて歩いて生きましょう」と被災者たちに向けてメッセージを贈った。
THE YOUTH
2011年3月18日深夜
中村維俊(Vo, B)が被災中に制作した楽曲「アイ」をYouTubeで公開。
中村と相澤大樹(Dr)の地元は宮城県名取市閖上で、津波により実家やスタジオが流されていた。中村は震災の翌日に物が散乱したままの仙台の自室で楽曲制作を開始。彼はほかのメンバーと連絡がつかないまま、電気も通っていない、携帯も通じない閉ざされた環境の中で、メンバーたちの無事を信じて必死にこの曲を作り続けた。そして仙台に電気が通じるようになってから、中村は自らが講師を務める専門学校で多くの人の協力を得てレコーディングを敢行。できたての新曲「アイ」をYouTubeにアップし、被災地から全国にメッセージを発信した。
THE YOUTHはその後、復興に向けた「THE YOUTHプロジェクト」を立ち上げ、津波被害の大きい場所で弾き語りライブやフリーライブを実施。「アイ」は翌2012年2月にリリースされたシングル「SYNCHRONICITY」に収録された。
なお20日には、同じく仙台在住の半沢武志(ex. FreeTEMPO)も「電力を使ってしまい、申し訳ないと思っております」とコメントしつつ、被災者へのメッセージを込めた「スマイル」をYouTubeで公開。ほかに仙台在住のアーティストとしては、GAGLEが地震発生1カ月後の4月11日に被災地目線でリリックをつづった「うぶこえ(See The Light Of Day)」を制作し、同月20日にiTunes Storeでチャリティ配信をしている。
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本稿では地震発生からの1週間と区切って紹介したが、もちろんその後もこの流れは終わることはなく、その後も数え切れないほど多くのアーティストが、被災者へポジティブなメッセージを届ける歌や、東日本大震災から感じたことを表現した音楽を発表し、全国各地で大小さまざまなチャリティライブが催された。そして9年後の現在に至るまで、まだ復興の終わっていない被災地を支援しようというアーティストたちの取り組みは継続的に行われている。
文 / 橋本尚平 ヘッダ写真出典:財団法人消防科学総合センター災害写真データベース